マニー・ラミレス「土佐日記」。
レジェンドが高知で送った幸福な日々 (6ページ目)
午後9時35分、10対5と高知の勝利で試合は終わった。しかし、"マニー劇場"は、まだ終わっていなかった。試合後のヒーローインタビューと囲み取材は、異例ともいえる数の報道陣の前で行なわれた。
「とても多くのファンの前でホームランを打つことができて、非常に満足している。今日のヒーローは自分ではなく、スタンドのファンのみんなだ!」
高知のファンの前でホームランを見せることができた喜びをマニーは口にした。
そしてヒーローインタビューのあと、選手たちからマニーにサプライズが用意されていた。「ハッピー・バースデー・トゥー・マニー」の大合唱が起こると、ケーキを手にした選手がマニーに歩み寄った。突然の誕生日祝いに、この2日後に45歳を迎える老雄は、満面の笑みを浮かべた。
"マニー劇場"の最後は、盛大なカーテンコールで締めくくられた。球場正面出口には100人を超えるファンが、最後にもう一度、レジェンドの姿を焼き付けようと殺到していた。マニーは彼らのサインの求めに応じ、ペンを走らせ、待たせていた車に乗り込んだ。
マニーは「できれば(高知に)帰ってきたい」と口にすると同時に、報道陣には「有終の美」「いい形で終われた」と現役引退をにおわす言葉を何度も口にしていた。"マニー劇場"に第2幕はあるのか。今は誰にもわからない。敬虔なクリスチャンのマニーに言わせれば、「神のみぞ知る」といったところか。
数え切れない財産と思い出を残し、6月1日、マニーは高知をあとにした。
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