異次元のスピードで甲子園を席巻したオコエ瑠偉 一塁強襲二塁打、1イニング2三塁打、超美守... (4ページ目)
興南(沖縄)との準々決勝では、厳しく内角を攻められ、4打数無安打2三振と精彩を欠いた。だが、3対3と同点の9回、二死二塁から苦しんでいた内角低めの直球を「100パーセント読んで」と巻き込むように強振すると、ライナーがレフトスタンドに飛び込んだ。夏の大会で関東一に初のベスト4進出をもたらす決勝2ラン。これが高校通算36本目のアーチだった。
この夏の甲子園4試合で残した成績は、18打数6安打6打点、盗塁0。数字だけを見れば、突出しているわけではない。だが、ファンの記憶には「オコエ劇場」と呼ばれた鮮烈な衝撃が、今も色濃く刻まれている。
15年、ドラフト前に取材した時のオコエはこんなことを語っていた。
「1年前には、いまの自分は想像できませんでした。この間の通学中に『オコエさんですか?』と、知らない人に声をかけられたんですよ」
1年後。いまからは想像のつかない舞台で活躍しているオコエを見られるだろうか。
著者プロフィール
楊 順行 (よう・のぶゆき)
1960年、新潟県生まれ。82年、ベースボール・マガジン社に入社し、野球、相撲、バドミントン専門誌の編集に携わる。87年からフリーとして野球、サッカー、バレーボール、バドミントンなどの原稿を執筆。85年、KK最後の夏に"初出場"した甲子園取材は66回を数え、観戦は2500試合を超えた。春夏通じて57季連続"出場"中。著書は『「スコアブック」は知っている。』(KKベストセラーズ)『高校野球100年のヒーロー』『甲子園の魔物』『1998年 横浜高校 松坂大輔という旋風』『1969年 松山商業と三沢高校』(ベースボール・マガジン社)ほか
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