検索

【夏の甲子園2025】横浜戦の敗北がすべてを変えた 「相手を上に見るのはやめよう」を合言葉に沖縄尚学が駆け上がった頂点への道

  • 田尻賢誉●文 text by Tajiri Masataka

 沖縄尚学・比嘉公也監督には、ずっと後悔していることがあった。

「横浜高校を上に見すぎていたんです」

日大三を3対1で下し、悲願の夏初制覇を果たした沖縄尚学ナイン photo by Koike Yoshihiro日大三を3対1で下し、悲願の夏初制覇を果たした沖縄尚学ナイン photo by Koike Yoshihiroこの記事に関連する写真を見る

【相手を上に見るのはやめよう】

 今年春の選抜で、沖縄尚学は2回戦で横浜と対戦した。主将の阿部葉太を筆頭に、体格のいい選手が揃う昨秋の神宮大会王者を「強い」と思いすぎてしまったのだ。

 先発のマウンドには、「変化球がいいので」とエースの末吉良丞ではなく新垣有絃を立てたものの、先頭打者に死球を与えてリズムを崩す。安打で一、二塁となったあと、3番の阿部葉には右中間に打った瞬間本塁打とわかる3ランを浴び、あっという間に3点を失った。選抜時の正捕手で、横浜戦でマスクを被っていた山川大雅は言う。

「横浜を格上に見すぎてしまいました。同じ高校生なのに(気持ちで)引いてしまった。(阿部葉には)ランナーが溜まってしまって、無理やりカウントを取りにいこうとした球を打たれてしまった。強打者を相手にもっと工夫していたら......。沖縄ではああいうホームランは見たことがなかったので、さらに引いてしまいました」

 3回にも阿部葉のタイムリーなどで2点を失い、0対5。「やっぱり強い」と思うには十分な点差だったが、試合は思いがけない展開になる。

 3回裏に2本の長打を含む3安打で横浜先発の150キロ右腕・織田翔希をKO。その後も合計5人の投手を繰り出した横浜投手陣をとらえ、11安打で7得点を挙げた。試合は7対8で敗れたが、終わってみれば「自分たちも意外とやれた」というのが実感。相手を大きく見すぎたことによる序盤の失点が、なおさら悔やまれた。

 自分が相手を格上と見た結果、その気持ちが選手たちにも伝染してしまった。そう感じた比嘉監督は、横浜戦以後、選手たちにこう言い続けた。

「相手を上に見るのはやめよう」

 相手を過大評価すれば、自分たちのパフォーマンスが発揮しづらくなる。力を出した結果の負けなら仕方ないが、力を出せずに負けるのはもったいない。所詮は同じ高校生なのだから。

1 / 4

著者プロフィール

フォトギャラリーを見る

キーワード

このページのトップに戻る