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【夏の甲子園2025】横浜戦の敗北がすべてを変えた 「相手を上に見るのはやめよう」を合言葉に沖縄尚学が駆け上がった頂点への道 (2ページ目)

  • 田尻賢誉●文 text by Tajiri Masataka

【横浜戦で自信をつけた選手】

 一方で、横浜を格上に見ていたことがプラスになった選手もいる。ライトの伊波槙人だ。選抜では背番号15をつけた控え選手。横浜戦で出場したのは、7対8と1点差に迫った8回裏無死一、二塁での代打だった。1球ファールのあとの2球目。三塁前に転がし、送りバントを成功。後続が倒れて得点にはつながらなかったが、伊波には生涯忘れられない打席になった。

「横浜を相手に、あの場面で(バントを)決めきれたことが自信になりました。甲子園は1球でも成長できます。人生を変えた1球です」

 これを機に、明らかに自分が変わったのがわかったという。沖縄大会では背番号13だったが、打率.417と活躍。夏の甲子園はレギュラー番号の背番号9をつけてやってきた。初戦、2戦目は無安打と結果が出なかったが、悩んだ時に思い出したのが横浜戦のことだった。

「横浜戦の動画をもう一回見たんです。それを見て、最後は技術じゃなくてメンタルだ、と。あそこ(対横浜の苦しい状況)で決めきれたんだから、絶対打てる。そう信じてやれました」

 動画を見たあと、3回戦の仙台育英戦は2安打。準々決勝の東洋大姫路戦でも先制打を含む2安打。

「ヒットが出て、気持ちが楽になった」

 決勝の日大三戦でも9回一死一塁の場面で「ファーストにやった方が成功する確率が高い」と一塁側を狙ってバントを転がし、内野安打。春から大きく変わった姿を見せた。

【あのホームランがあったからこそ...】

 日大三との決勝。比嘉監督が「彼の好投に尽きる」と言ったのが春の横浜戦で1回KOされた先発の新垣有だった。今夏の甲子園初登板は2回戦の鳴門戦。先頭打者に二塁打を浴び、さらに四球と犠打で一死二、三塁のピンチを招いて「またか......」と思わせたが、このピンチを連続三振で脱出すると人が変わった。

 5回無失点で勝利投手になると、準々決勝の東洋大姫路戦も6回2安打1失点の好投。準決勝の山梨学院戦は4失点したエース・末吉のあとを受け、3回1/3を5奪三振無失点救援でチームの逆転劇を呼び込んだ。伊波同様、新垣有も横浜戦のビデオを見て臨んでいた。

「あの(阿部葉に打たれた)ホームランがあったからこそ、ここまで成功できたと思うんで」

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