【夏の甲子園2025】横浜戦の敗北がすべてを変えた 「相手を上に見るのはやめよう」を合言葉に沖縄尚学が駆け上がった頂点への道 (3ページ目)
日大三との決勝戦で先発し、8回途中1失点と好投した沖縄尚学・新垣有絃 photo by Koike Yoshihiroこの記事に関連する写真を見る 取材時の新垣有の声は小さく、自信は感じられないが、マウンドでの姿は春のそれとは大違い。選抜時の正捕手、山川は言う。
「選抜の時は固まってましたけど、今は心が強くなった。マウンドでの立ち居振る舞いが変わったし、ピンチでも『自分が抑えるんだ』という気持ちがある。余裕がありますね」
新垣有本人も「前はあんまり自信を持ってなかったんですけど、甲子園で投げさせてもらって自信がついてきた。そこは大きな違いかなと思います」と、春との違いを感じていた。
決勝は比嘉監督が「スライダーがいつものように低めにいっていなかった」と言ったように本調子ではなかったが、ピンチでも冷静さを失わずに投球。「なんとか5回までという計算だった」という指揮官の期待を上回り、8回二死まで1失点の好投を見せた。
「気持ちで引いたら負け」
横浜戦の負けは絶対に忘れない。全員がその気持ちを持って戦った。勝負事は、気持ちで引いた方が負ける。攻める気持ち、攻め続ける気持ちが必要。それに気づけたことが、この夏につながった。
【会心の盗塁で決勝点を演出】
決勝戦で決勝点を奪った6回表。二死一塁で勝負をかけたのが一塁走者の宮城泰成だった。4番・宜野座恵夢への初球にスタート。完全にモーションを盗み、捕手も投げられない完璧な盗塁だった。
「(自身の出塁後に)バント失敗もあって嫌なムードだった。(当たっている)宜野座にチャンスで回したら点が取れる。チャンスをつくりたかった」
俊足の宮城だが、じつは沖縄大会から甲子園準決勝まで盗塁はゼロ。これがこの夏の初盗塁。勝負をかけた走塁だった。
「けん制をしたら、2球連続では来ないというデータがあったので、そこを狙って走りました。(成功して)気持ちよかったですね」
盗塁成功直後の球を宜野座がレフト前ヒット。迷わず二塁ベースを回った宮城が勝ち越しのホームを踏んだ。宮城に春の横浜戦のことを尋ねると、こんな答えが返ってきた。
「横浜の選手は、一人ひとり、自信を持っていました」
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