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2026年ドラフトの目玉がわずか10球のアピールで日本代表入り 青山学院大・鈴木泰成の驚異のポテンシャル

  • 菊地高弘●文 text by Kikuchi Takahiro

── 大学日本代表に自分が選ばれると思いますか?

 そう尋ねると、鈴木泰成(青山学院大3年)は「いやぁ〜」とはにかみながら、こう答えた。

「わかんないですけど、すごいピッチャーばかりでしたから。自分は3年生なので、『選ばれていたらいいな』くらいの感覚でいます」

青山学院大3年の鈴木泰成 photo by Kikuchi Takahiro青山学院大3年の鈴木泰成 photo by Kikuchi Takahiroこの記事に関連する写真を見る

【回転数2700台後半のストレート】

 6月21日から3日間にわたり、バッティングパレス相石スタジアム(神奈川県平塚市)で大学日本代表候補合宿が実施された。50人の代表候補のうち、21人が投手。そのうち15人が4年生である。

 3日間の合宿を終え、鈴木に話を聞いた約1時間後。大学日本代表の堀井哲也監督(慶應義塾大)が発表した26人のメンバーのなかに、鈴木の名前があった。

 鈴木が大学日本代表に選出されたことはサプライズでもなんでもなく、「順当」と言っていい。それほど、鈴木のポテンシャルは輝きに満ちている。残り1年あまりの大学生活でよほどのことがない限り、鈴木は2026年ドラフトの目玉になるはずだ。

 選考合宿では紅白戦が毎日行なわれたが、鈴木が登板したのは最終日の1イニングのみ。直前に開催された大学選手権で、2試合8イニングを投げた疲労を考慮されたためだ。だが、鈴木は笑顔で「もう少し投げたかったです」と明かした。

「大学選手権で東北福祉大に負けて、悔しかったので。大会が終わってもオフという感じではなく、『やらなきゃ』という思いが強くて。いい状態で合宿に臨めました」

 紅白戦ではカウントをとりにいくカーブを安打されるシーンはあったものの、最速150キロを計測したストレートは打者にまともにとらえさせなかった。1イニングわずか10球で無失点に切り抜け、鈴木のアピールは終わった。

 今回の大学日本代表は、7月8日から開幕する日米大学野球選手権を戦うためのメンバーになる。代表が発表される直前、「もしアメリカ打線と対戦するとしたら、どんな投球をしたいですか?」と鈴木に尋ねると、こんな答えが返ってきた。

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著者プロフィール

  • 菊地高弘

    菊地高弘 (きくち・たかひろ)

    1982年生まれ。野球専門誌『野球小僧』『野球太郎』の編集者を経て、2015年に独立。プレーヤーの目線に立った切り口に定評があり、「菊地選手」名義で上梓した『野球部あるある』(集英社/全3巻)はシリーズ累計13万部のヒット作になった。その他の著書に『オレたちは「ガイジン部隊」なんかじゃない! 野球留学生ものがたり』(インプレス)『巨人ファンはどこへ行ったのか?』(イースト・プレス)『下剋上球児 三重県立白山高校、甲子園までのミラクル』(カンゼン)など多数。

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