2026年ドラフトの目玉がわずか10球のアピールで日本代表入り 青山学院大・鈴木泰成の驚異のポテンシャル (2ページ目)
「アメリカ打線には、自分のタテ変化が通用すると思っています。スプリットとフォークの2種類のタテ変化を投げられて、あとは伸びるストレートの球質には誰にも負けない自信があります。そこで勝負できれば、いけるかなと感じます」
この言葉に鈴木の武器が詰まっている。とくにストレートは、多くの野球ファンを魅了する可能性を秘めている。
身長187センチ、体重79キロというスラリと四肢の伸びた投手らしい体型。しなやかで、美しい投球フォーム。指先から「パチン」と音が聞こえてきそうなリリース。最速154キロを計測するストレートは、捕手のミットを突き上げるような錯覚を起こす。
「リーグ戦で投げるとトラックマンの数値が出るんですけど、回転数と回転軸に注目しています。回転数は2700台後半が出て、アベレージは2500くらい。回転軸はシュートをしないで、ホップするような球を投げたいとイメージしています。真っすぐ、上へ突き上げるストレートです」
東海大菅生高時代から、将来を嘱望された逸材だった。同校の若林弘泰監督は、鈴木の下級生時から「将来は日本を代表する投手になってもらいたい」と期待を口にした。高校2年時に右ヒジを痛め、手術を経験。青山学院大では安藤寧則監督が「順番だけは間違えないように」と語ったように、段階を踏みながら、大事に起用されてきた。
【負ければ優勝消滅の一戦で快投】
リーグ戦期間中の5月上旬、青山学院大のグラウンドで鈴木に会った際、「そろそろ先発してみたいのでは?」と聞いてみた。鈴木は「そうなんですよ」と苦笑を浮かべた。その数日後、鈴木はリーグ戦初先発のマウンドに上がる。しかも、チームの命運をかけた大事な一戦で。
5月11日、ジャイアンツタウンスタジアムで行なわれた亜細亜大との2回戦。すでに1回戦を1対2で落とした青山学院大にとっては、あと1敗でもすればリーグ優勝が消滅する試合だった。一方の亜細亜大は開幕7連勝で、優勝に王手をかけていた。
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