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本田真凜とのアイスダンスは「僕が足を引っ張りすぎだった(笑)」 宇野昌磨が明かす初挑戦の舞台裏

  • 小宮良之●取材・文 text by Komiya Yoshiyuki
  • 能登 直●撮影 photo by Noto Sunao(a presto)

宇野昌磨『IceBrave2』インタビュー中編(全3回)

 7月18日、宇野昌磨は東京ミッドタウン日比谷にある「LEXUS MEETS」で、アイスショー『Ice Brave2』についてインタビューを受けている。

「すごくカッコいい写真!」「悪そう。たくらんでいるみたい?」「視線をズラすのもいいね!」。撮影では、スタッフたちがはしゃぐ声が聞こえた。フォトグラファーがシャッターを切るたび、パソコンに映し出される写真データに一喜一憂していた。長い前髪が垂れると、すかさずメイクやスタイリストが直しに入った。

 上品な照明が灯るなか異なるカットで撮影し、ポーズを変えながら、彼はファインダーに収まった。白い肌は艶めいていた。

東京都内でインタビューに応じた宇野昌磨東京都内でインタビューに応じた宇野昌磨この記事に関連する写真を見る

 宇野にとって、『Ice Brave』は現役引退後の大きな挑戦だった。そのタイトルどおり、勇敢さを示す最たるものがアイスダンスだったと言えるかもしれない。プロデューサーとして、演者として、ひとつのスペクタクルに仕上げ、「みんなを驚かせ、楽しませたい」という真剣なチャレンジだった。

 そして本田真凜とのアイスダンスは、ショーを彩る目玉になっているーー。

【体感したアイスダンスの難しさ】

ーー6月、7月に開催された『Ice Brave』公演前のインタビューで、宇野さんは「積み上げた先にショーがあって、そういうショーは自然に感情も乗るはずで、来てもらったファンの方にも感動してもらえる」という話をしていました。その点、アイスダンスへの挑戦はエモーショナルだったし、ショーを象徴していたように思えます。初回公演から、驚くようなレベルの高さでした。アイスダンス挑戦を振り返ってもらえますか?

宇野昌磨(以下同) 最初は、想像よりできないって感じでした。これは皆さんに伝える必要はないことなんでけど、アイスダンスがどれだけ難しいか、わかりづらいところで(苦笑)。シングルだったら滑れるし、回れるんです。でも、ふたりで組むことがどれだけ難しいか......。ちょっと取り組んだだけって思われるのは悲しかったので、これは自分が想像しているよりもいいものを目指さないとって。最初は頑張んなきゃって気持ちだけでした。

ーー高橋大輔さんがアイスダンスに転向した時、インタビューのなかで「単独だったらツイズル(多回転の片足ターン)は難しくないですけど、誰かと合わせるのが難しい」と力説していました。

 そのとおりで。どう調整し合わせるか、本当に難しい。千秋楽のツイズルが一番ズレちゃいました。僕が最初5周しちゃったんで、それで全部ズレてしまって......。

ーー初回の完成度の高さは驚きでした。

 初回と千秋楽を取材してもらったんですよね? 初回はそれまで練習してきたから、「練習以上を目指すのはやめよう、練習以下でも十分いいから」って気持ちでした。練習以上できなくても、みなさんにいいねって言われるものをつくってきた自信があったのですごく落ち着いてツイズルもやれていたんです。けど、千秋楽は振付師の(宮本)賢二先生にも、「(ふたりとも)もう少し近くで、ここで追いかけるように滑ったら」と指導してもらって、そういうのを全部意識したらわからなくなりました(笑)。

ーー不思議なものですね。

 そうなんです! 千秋楽は、朝の練習で直して、めっちゃよくなったんですよ。(本田)真凜とも近く滑れているし、ふたりで「これ、やろう!」ってなりました。それで本番は回りすぎるミスって(苦笑)。あれこそ、アイスダンスの難しさですね。近い距離で、タイミングを合わせると、それだけで"すごいように"見える。言い方はおかしいですけど、ふたりがピッタリ回るってこんなにすごいことなんだなって思いました。

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著者プロフィール

  • 小宮良之

    小宮良之 (こみやよしゆき)

    スポーツライター。1972年生まれ、横浜出身。大学卒業後にバルセロナに渡り、スポーツライターに。語学力を駆使して五輪、W杯を現地取材後、06年に帰国。著書は20冊以上で『導かれし者』(角川文庫)、『アンチ・ドロップアウト』(集英社)など。『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家デビューし、2020年12月には『氷上のフェニックス』(角川文庫)を刊行。パリ五輪ではバレーボールを中心に取材。

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