本田真凜とのアイスダンスは「僕が足を引っ張りすぎだった(笑)」 宇野昌磨が明かす初挑戦の舞台裏 (2ページ目)
【とにかくふたりで手をつないで...】
ーーそもそも、アイスダンスをどうやって始めたんですか?
まったくの初心者だったんで、とにかくふたりで手をつないで滑りながら。(高橋)大ちゃんとかうまい人や、世界一のアイスダンサーの演技とかを見てって感じです。シングルは自分の体の中心に軸があるじゃないですか? でも、ふたりの間、ど真ん中に軸があると、外でのスピンも相当なスピードが必要になるんですよ。
体感で言うと、とんでもなく速い。外側から見ると、そうでもないんですけど(笑)。それが最初は戸惑って難しかったです。ただ、僕はできないことをできるようになるところに成長を感じられるし、その瞬間は好きなんだなってあらためて思いました。
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ーー現役時代から、あえて苦境に入って、そこでひっくり返す活躍を見てきました。もしかすると、自分を苦しめることでパワーが出るとか?
いやいや(笑)。スケート以外はつらくなったらすぐやめます。まあ、スケートでも感じてきたのは、初心者からあとは成長の度合いも大きいんですけど、そのあとは一定の壁にぶち当たるもので。苦しい期間があるっていうのはどの界隈でも一緒のはずで、それは(大好きな)ゲームをやっていても思いますね(笑)。
ーーカップルを組んだ本田真凜さんが、半年ほどアイスダンスをやっていたことはアドバンテージになったのでは?
アドバンテージだったはずですけど、僕が足を引っ張りすぎだったんで(笑)。とにかく覚えられないし、どこにいればいいかもわからない。ふたりで滑るっていうのが難しくて。近い距離で邪魔にならないようにって考えると、どこにいてほしいの、どこにいないほうがいいのっていろいろ考えて、マジでわかんなくて(笑)。
ーー高橋さんはアイスダンスで肉体改造していましたが、宇野さんも体が少し大きくなったように見えました。
とくにトレーニングはしていないんですが、リフトをやっていたら自然に大きくなった感じですかね。リフトは危なくないものを選びましたが、アイスダンスっぽいものを見せたい気持ちも強かったので。ただ、演目がすごく多いし、かなり疲れている時にやるので、危なくないものにはしていました。初挑戦のアイスダンスの演目としては、内容的にも満足できるものだったかなと。ただ、次は『Ice Brave』の「2」ということで、「1」よりも明らかに成長したところは見せたいです。
【プロフィール】
宇野昌磨 うの・しょうま/プロフィギュアスケーター。1997年12月17日、愛知県生まれ。現役時代には全日本選手権優勝6度、世界選手権連覇、2018年平昌五輪銀メダル、2022年北京五輪銅メダルなど華々しい成績を残す。2024年に現役引退し、現在はアイスショー出演などプロスケーターとして活躍している。2025年6月〜7月に自身が初めて企画プロデュースしたアイスショー『Ice Brave』を名古屋、新潟、福岡の3都市で開催。同年11月〜2026年1月には『Ice Brave2』を京都、東京、山梨、島根、宮城で開催予定。
著者プロフィール
小宮良之 (こみやよしゆき)
スポーツライター。1972年生まれ、横浜出身。大学卒業後にバルセロナに渡り、スポーツライターに。語学力を駆使して五輪、W杯を現地取材後、06年に帰国。著書は20冊以上で『導かれし者』(角川文庫)、『アンチ・ドロップアウト』(集英社)など。『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家デビューし、2020年12月には『氷上のフェニックス』(角川文庫)を刊行。パリ五輪ではバレーボールを中心に取材。
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