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藤浪晋太郎が明かした阪神時代に苦しんだ制球難 「眠れなかったり、夢でうなされて起きたり、円形脱毛症にもなったり」 (5ページ目)

  • 谷上史朗●文 text by Tanigami Shiro

 大阪桐蔭での3年間も、「まだまだ」「もっともっと」と上を見続け、自分を信じ、ひたすら野球に打ち込んだ先の栄光だった。

 2012年の夏、甲子園で無双したエースも4月には31歳になる。この先、どんなプランを描いているのか。メジャー挑戦の時は、プロ10年を終えたタイミングでもあり、「折り返しです」と語っていたが、今回は藤浪らしい言葉で決意を伝えてきた。

「箱根駅伝で例えるなら、5区の山登りを終えて6区の山下り、いや、終盤の8区、9区に差し掛かっているかもしれない。あと何年できるという保証もないですし、今年ケガをして引退になるかもしれない。そう思えば、いずれ来る"終わり"を意識しながら、野球人生をどれだけまっとうできるか。大阪桐蔭のメンバーも、それぞれの場所で歯を食いしばって頑張っていると思うので、自分の場所で、月並みですけど悔いのないように。『オレの野球人生よかったな』『野球をやっててよかった』と最後にあらためて思えるように。そのためにも、もうひと花、ふた花、やってやるぞという気持ちです」

 藤浪との再会を西谷に報告すると、短くひと言返ってきた。

「今年はやってくれるでしょう」

 根拠はなく、ただ信じるのみ。とにかく大好きな野球を、好きな場所で存分に。いつの時も期待は変わらない

(文中敬称略)

著者プロフィール

  • 谷上史朗

    谷上史朗 (たにがみ・しろう)

    1969年生まれ、大阪府出身。高校時代を長崎で過ごした元球児。イベント会社勤務を経て30歳でライターに。『野球太郎』『ホームラン』(以上、廣済堂出版)などに寄稿。著書に『マー君と7つの白球物語』(ぱる出版)、『一徹 智辯和歌山 高嶋仁甲子園最多勝監督の葛藤と決断』(インプレス)。共著に『異能の球人』(日刊スポーツ出版社)ほか多数。

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