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藤浪晋太郎が明かした阪神時代に苦しんだ制球難 「眠れなかったり、夢でうなされて起きたり、円形脱毛症にもなったり」 (4ページ目)

  • 谷上史朗●文 text by Tanigami Shiro

 マリナーズとマイナー契約を結んだ今季も、険しい道は容易に想像できる。それに加え、結果が出ない時はまた痛烈なバッシングも......。

「自分で言うのもなんですが、歯に衣着せぬといいますか......思ったことを口にするんで(笑)。でも、ほんとに思っていることなんで、嘘はつきたくないですし。藤浪がどういう人間か、知ってくれている人だけ知ってくれていたらいいかなと思っています」

 言葉を選んで話す時代に、ストレートな思いを口にする。言葉だけではない。取材場所にはふらっとひとりで現れ、帰国中も気が向けば公園でストレッチやランニング。合間には高校時代の思い出の味でもある『王将』の餃子を頬ばり、時にはテレビ番組や新聞紙面上で馬券予想を楽しむ。枠にとらわれることなく、生きたいように生きる奔放さ、人間臭さが藤浪にはある。ただ、際立つ個性ゆえの難しさが、この時代のなかではついて回る。

 そうした部分も含め、野球をすることがしんどい、辞めたいと思ったことはないのだろうか。

「それはないですね。野球が嫌いとか、辞めたいと思うことは、これまでどれだけしんどいと思った時でもなかったです。つらいということはあっても、それ以上にやっぱり野球が好きなんで。今も気がつけば野球のことを考えていますし、考えること自体楽しいので」

 さすがは西谷の目にかなっただけのことはある。生粋の野球小僧の気持ちがある限り、楽しみは続く。

【アメリカで挑戦を続ける理由】

 思い起こせば阪神からメジャーに渡る際、「捲土重来」「疾風に勁草を知る」といった言葉を交えながら、決意をこめて最後にこう締めていた。

「チャンスがあると思うから行くわけで、まだまだ自分自身に期待しています」

 そして今はどのような心境なのか。

「世間の人には鼻で笑われるかもしれないですけど、まだまだ本気でアメリカで一線級としてやれると思っているから、向こうに残っているので。自分に期待しています」

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