福井工大福井の監督となった大阪桐蔭「藤浪世代」の白水健太は「西谷先生を真似ていたら、一生、大阪桐蔭には勝てない」と格闘の日々 (4ページ目)

  • 谷上史朗●文 text by Tanigami Shiro

 ほどよい緊張感は残しつつ、軽やかなチームへと変わった今、あとひとつ、あとふたつの壁を一気に乗り越えていくことができるのか、真価が問われる夏となる。抽選の結果、厳しいブロックに入ったという声もあるが、白水は「望むところです」と胸を張った。

「大会を戦うなかで、どんどん強くなって勝ち上がっていきたい。去年の秋、敦賀気比に初戦で負けて、公式戦を1試合しか経験できなかった。だから春は少しでも多くの試合をしたいと思っていたら北信越まで行けて、緊張感のあるなかで7試合することができた。そこで選手が伸びてくれました。とはいえ、3年生もまだまだ伸びしろを残した発展途上。ですので、あとは監督次第です。選手たちの力を信じて、焦ることなく、一緒に熱くいきます!」

 昨年夏の準決勝では、動画中継を見ながら、小池裕也ら2012年のメンバーがグループLINEで大いに盛り上がった。白水率いる福井工大福井へのエールを込め、試合途中には海の向こうから藤浪も参戦。残念ながら勝利をつかむことはできなかったが、はたしてこの夏はどんな結末が待っているのか。

 白水監督の悲願の甲子園へ向け、福井工大福井の初戦は、7月20日に大野高校との間で行なわれる。決勝まで勝ち進めば2012年メンバーがスタンドに駆けつける計画もあるという。

著者プロフィール

  • 谷上史朗

    谷上史朗 (たにがみ・しろう)

    1969年生まれ、大阪府出身。高校時代を長崎で過ごした元球児。イベント会社勤務を経て30歳でライターに。『野球太郎』『ホームラン』(以上、廣済堂出版)などに寄稿。著書に『マー君と7つの白球物語』(ぱる出版)、『一徹 智辯和歌山 高嶋仁甲子園最多勝監督の葛藤と決断』(インプレス)。共著に『異能の球人』(日刊スポーツ出版社)ほか多数。

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