神戸弘陵の最速152キロ右腕・村上泰斗は「投手王国・兵庫」でナンバーワンの座に輝けるか (3ページ目)
神戸弘陵OBで現役時代に剛腕として知られた前田勝宏コーチ(元西武ほか)から簡単なアドバイスを受けると、すぐさま体現して見せた。岡本監督は「そういう器用さもあるんですよ」と舌を巻く。
高校野球は残り1年。どんなことを成し遂げたいか尋ねると、村上は「体重アップ」とともに「兵庫ナンバーワン投手になること」を挙げた。規模がささやかに感じるかもしれないが、投手王国・兵庫は今年も粒ぞろいなのだ。
1年時から脚光を浴びる剛腕・津嘉山憲志郎(神戸国際大付)に、今春のセンバツで好投を見せた今朝丸裕喜や間木歩(ともに報徳学園)など。彼らを超えるということは、世代ナンバーワン投手に近づくことを意味する。
生まれ育ったのは、「周りを山に囲まれて、野球で遊べる場所がたくさんあった」という猪名川町(いながわちょう)。小中学校と「キャッチャーができる人がいなかったから」という理由で捕手をやっていた少年は、今やプロスカウトもマークする本格派投手になった。
投手の醍醐味を聞くと、村上は嬉々としてこう答えた。
「目立つっていうか、自分で試合を動かせるところに魅力がありました」
投手として目指す究極の姿は、「藤川球児さん(元阪神ほか)のようなストレートを投げる、勝てる投手」だという。
村上泰斗が理想に近づけば近づくほど、神戸弘陵は激戦区の頂点へと肉薄していく。
著者プロフィール
菊地高弘 (きくち・たかひろ)
1982年生まれ。野球専門誌『野球小僧』『野球太郎』の編集者を経て、2015年に独立。プレーヤーの目線に立った切り口に定評があり、「菊地選手」名義で上梓した『野球部あるある』(集英社/全3巻)はシリーズ累計13万部のヒット作になった。その他の著書に『オレたちは「ガイジン部隊」なんかじゃない! 野球留学生ものがたり』(インプレス)『巨人ファンはどこへ行ったのか?』(イースト・プレス)『下剋上球児 三重県立白山高校、甲子園までのミラクル』(カンゼン)など多数。
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