甲子園で熱投の10人を山本昌がリアル解説 ひと目で「すばらしい」と直感したエースは?
今年の夏の甲子園は多くのメディアで「投低打高」と評された。佐々木麟太郎(花巻東)ら野手に逸材が多かった半面、投手の好素材が目立たなかったからだ。だが、これまで持ち前の千里眼で数々の原石を発掘してきたレジェンド・山本昌(元中日)には、そんな常識は通用しない。色眼鏡抜きに10人の好投手を分析してもらったところ、意外な"隠し玉"が潜んでいた!
初戦の愛工大名電戦で9回1失点、10奪三振の好投を見せた徳島商の森煌誠この記事に関連する写真を見る森煌誠(徳島商/183センチ・89キロ/右投右打)
彼のことは甲子園初戦(愛工大名電戦)をリアルタイムで見て、「こんなにいいピッチャーがいたのか」と驚きました。初回に1失点を喫したあとの2回から見たのですが、「名電と言えど、点をとるのは難しいだろうな」と思うほどいい内容でした。たくましい体つきと、真上から投げ下ろす投球フォーム。140キロ台をコンスタントに超える速球と、縦に大きく曲がるカーブと鋭く落ちるスプリット。社会人志望と聞きましたが、プロ志望届を出せばドラフト指名されるはずです。アウトステップするうえに腰高に見えるフォームですが、腰の向きは真っすぐに捕手を向いていますし、カーブが鋭く曲がる要因のひとつになっています。あとは体ができてくればボールをもうひとつ前でリリースできるようになり、高めに浮くボールが減るはず。故障することなく、このまま成長していってもらいたい大器です。
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プロフィール
菊地高弘 (きくち・たかひろ)
1982年生まれ。野球専門誌『野球小僧』『野球太郎』の編集者を経て、2015年に独立。プレーヤーの目線に立った切り口に定評があり、「菊地選手」名義で上梓した『野球部あるある』(集英社/全3巻)はシリーズ累計13万部のヒット作になった。その他の著書に『オレたちは「ガイジン部隊」なんかじゃない! 野球留学生ものがたり』(インプレス)『巨人ファンはどこへ行ったのか?』(イースト・プレス)『下剋上球児 三重県立白山高校、甲子園までのミラクル』(カンゼン)など多数。