高校野球のタイブレークは先攻、後攻、どっちが有利? 経験監督に聞く「勝利のポイント」 (6ページ目)
【先攻のほうが開き直って攻撃できる】
センバツでタイブレークを経験した東邦・山田祐輔監督はこう言っていた。
「先攻はとにかく1点を確実にとっていく。後攻は相手と同じ点数をとり続けるという考え方ですね。先攻で1点でも多くとるに越したことはないですけど、1点とったときの相手へのプレッシャーは結構ある。たくさんとろうと思う人は結構いると思うんですけど、ウチは先攻でも1点をとり続ける。それ以上とれたらラッキーです」
その東邦をタイブレークで破った報徳学園・大角健二監督はこう言った。
「先攻の場合は基本的にとれるだけとっておかないといけない。0点、1点となってしまうと、相手はそれを計算して攻撃もしやすい。先攻なら1点確実にじゃなくて、とれるだけとる。先攻のほうが開き直って攻撃できるんで、やりやすいかもしれないですよね」
開幕戦で勝利した土浦日大・小菅監督はこんなことを言っていた。
「ウチが後攻で、表に3点とられて1点取り返して負けた試合があったんですけど(春の県大会決勝の常総学院戦)、先に得点されると意気消沈しちゃうんですよね。まず抑えるのか、攻めるのかといったら、先に攻める先攻が有利かなと思います」
まだサンプル数が少ないため、先攻、後攻どちらが有利かはわからない。だが、最後にこの数字も知っておいてもらうとおもしろい。冒頭で紹介した地方大会のタイブレークの勝敗だ。準々決勝は先攻、後攻ともに5勝ずつだったが、準決勝は先攻が11勝、後攻が6勝、決勝は先攻が1勝、後攻が5勝と大きな差が出た。「勝ったら決勝」の準決勝は先攻が優勢、「勝ったら甲子園」の決勝は後攻が優勢。はたして、「勝ったら日本一」の甲子園ではどうなるのか──。
著者プロフィール
田尻賢誉 (たじり・まさたか)
1975年、神戸市生まれ。学習院大卒業後、ラジオ局勤務を経てスポーツジャーナリストに。高校野球の徹底した現場取材に定評がある。『明徳義塾・馬淵史郎のセオリー』『弱者でも勝てる高校野球問題集173』(ベースボール・マガジン社刊)ほか著書多数。講演活動を行なっているほか、音声プラットフォームVoicy(田尻賢誉「タジケンの高校野球弱者が勝つJK」/ Voicy - 音声プラットフォーム)でも毎日配信している。
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