高校野球のタイブレークは先攻、後攻、どっちが有利? 経験監督に聞く「勝利のポイント」 (3ページ目)

  • 田尻賢誉●文 text by Tajiri Masataka
  • photo by Ohtomo Yoshiyuki

 つづく4番・福田敦士の打席で相手投手の暴投で勝ち越すが、その1点止まり。裏に追いつかれると12回も途中出場の秋田幹太に送りバントのサインを出すが失敗。次打者の上田海翔はショートライナーで二塁走者が飛び出しダブルプレーとなった。

 後攻の鳥栖工は、3イニング連続で送りバントを試みてすべて成功。10回はスクイズ失敗(併殺)などで無得点、11回は犠牲フライで1点、12回は送りバントが相手失策を誘って決勝点が転がり込んだ。

明豊8×9北海

 8番・義経豪からだった明豊も送りバントを選択するが失敗。代打・芦内澄空のライト前タイムリーで1点を勝ち越すが、後続が続かず1点止まり。その裏は相手の送りバントを失敗させながら、下位打線に連打を浴びてサヨナラ負けした。

大垣日大3×4おかやま山陽

 大垣日大は九番の袴田好彦からの攻撃で送りバントを選択も、捕飛となり失敗。だが、ただでは終わらないのが79歳の老将・阪口慶三監督。次打者の高川莉玖が2球で2ストライクと追い込まれるとダブルスチールをしかけた。これが相手捕手の悪送球を誘って勝ち越し。二死後、2番・権田結輝がレフト前ヒットを放ち、二塁走者が本塁を狙うが、これは相手の中継プレーに阻まれ1点止まりに終わる。

 その裏、おかやま山陽も9番からの攻撃。堤尚彦監督は送りバントを命じるが、大垣日大の大胆なバントシフトの前に二塁走者は三塁封殺されてしまう。次打者も一飛に倒れて二死と追い込まれたが、2番・湯浅健太郎は四球で満塁とすると、3番・渡辺颯人の2球目に大垣日大の捕手・高橋慎がパスボール。高橋から本塁ベースカバーの投手・山田渓太への送球が逸れる間に二塁走者まで還って逆転サヨナラ勝ちした。

慶應義塾6×3広陵

 1番・丸田湊斗から始まった慶應は「信頼している打者。(足が速く)ゴロでゲッツーもない」(森林貴彦監督)と強攻策を選択。「セーフティー(バント)を考えていた」と言う広陵のエース・高尾響の虚をつき右前打でチャンスを広げると、一死後、渡辺千之亮のセカンドゴロが相手失策を誘って勝ち越し。さらに二死から延末藍太が2点タイムリーを放って3点を挙げた。その裏、打つしかなくなった広陵は3三振で1点も奪えずに終わった。

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