新バット導入で高校野球がどう変わるか 名将・前田三夫が展望「大味な試合は減る」「チームづくりは年ごとに変化があるかも」 (4ページ目)
●バット基準変更が「有意義」な理由
ーー全メーカーのものが試し打ちできる機会がいろいろあればいいですが、どうでしょう?
石神 今年2月に全メーカーが新基準のバットを持ってきて、都立のチームを対象に試打してもらっていますが、そういった機会があちこちであるわけではないので、基本的には出ている情報をできるだけ集めてもらう。
たとえばゼットでは、自分の情報を入れてぴったりのバットが選べる「マッチングチャート」というのを公開しています。これである程度シミュレーションしたうえでショップに出向き、振ってみる。さらに試打会などのイベントがあれば上手に利用して、バット選びにつなげてほしいと思います。
新基準バットについて説明する石神氏(写真右)。帝京野球部OBでもあるこの記事に関連する写真を見るーーゼットは計7モデルですが、各社どれくらいの種類のバットを出す予定でしょうか?
石神 ミズノも7モデルと同じですね。SSKやアシックス、イーストンなどは2モデル程度と聞いていて、おそらく選手の声を集めながら今後少しずつ機種を増やしていくのではないでしょうか。
値段は税抜きで、35000〜40000円くらいとされています。これまでの価格からか2割ほど上がっていますのでそこはメーカーとして心苦しいところですが、だからこそ選手の皆さんには慎重に選んでもらいたいですね。
前田 まずは自分がバッターとしてどのタイプなのか。そのうえで最適なバランスのバットを選ぶこと。ヘッドバランスを選ぶ選手は少しでもヘッドを感じながら振れるバットを。ニアバランスを選ぶ選手には、しっかりと振り抜けるバットが見つかるといいですね。
また、選手によっては好みのメーカーのバットがあると思いますが、同じ名称のシリーズでも新規格なのでまったくの別物になる。だからこれまでのバットにこだわらず、白紙に戻してバット選びをしたほうがいいかもしれません。
そして、実際に1本でも多く振って特徴をつかみ、守る時も今までと違ってどんな打球が飛んでくるのか。いずれも繰り返し練習して早く慣れてほしいと思います。
前田氏は新バットにより試合の傾向が変わると指摘この記事に関連する写真を見るーー野球観が大きく変わりそうですね。
前田 今回のバットの変更は野球界においてとても有意義だと思いますよ。さらに上を目指す選手にとっては、早く「木の感覚」に慣れることで力を出しやすくもなるでしょう。
今から新旧のバットを併用して練習しているチームはまだ少なく、秋の大会が終わってから新しいバットでの練習に入るチームがほとんどのようですが、それはどちらでもいいと思う。
「飛ばない」といわれることを過剰に意識せず、広がる可能性に注視して練習に励んでほしいと思います。
前編<高校野球は新基準の金属バット導入でバッティングがどう変わるのか 試打した帝京高校の部員は「音に惑わされる感じがします」>
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