高校球界を席巻する「スーパー1年生」たち 最速145キロ右腕、名門の中軸を託された好打者など逸材ズラリ

  • 高木遊●文・写真 text & photo Takagi Yu

 高校球児にとっての夢舞台である甲子園を目指した地方大会が今年も始まり、最後の夏にかける3年生の奮闘だけでなく、数カ月前まで中学生だった"スーパー1年生"にも大きな注目が集まりそうだ。

高校球界に颯爽と登場した「スーパー1年生」 早くも145キロ到達、名門校の中軸など、存在を発揮高校球界に颯爽と登場した「スーパー1年生」 早くも145キロ到達、名門校の中軸など、存在を発揮この記事に関連する写真を見る

【関東大会優勝に貢献したふたりの1年生】

 この春の公式戦で、1年生ながらもっとも結果を残したのは、健大高崎(群馬)の石垣元気と佐藤龍月の両投手だろう。

 青柳博文監督は「彼らがいなかったら関東大会優勝はなかったですね」と称賛する。もともとはベンチに入れる予定はなかったふたりだが、故障者が出たため急遽ベンチ入り。うれしい誤算となった。

 右腕の石垣は北海道登別市育ちで、中学時代は洞爺湖シニアに所属。全国大会や日本代表での実績は皆無だが、北海道選抜の一員として沖縄で試合をした際、別の選手の視察で来ていた青柳監督と赤堀佳敬コーチにストレートの強さを高く評価された。

 石垣も誘いを光栄に受け止め、「施設や投手の育成力がいいと思って......」と北海道から群馬にやってきた。中学3年ですでに137キロを投じていた石垣だが、「高校に入ってから制球力も球速も上がりました」と本人が驚くように、ストレートの最速は145キロに達し、関東大会準々決勝の帝京(東京)戦では7回1安打、無失点の好投を見せるなど、1年生とは思えない活躍を見せた。

 一方、中学時代から実績、実力ともに群を抜いていた東京城南ボーイズ出身の左腕・佐藤も負けていない。昨年行なわれたU−15W杯では、侍ジャパンU−15代表のエース格として活躍。全国の強豪校が争奪戦を繰り広げるなかで、「(高校3年の)兄(志龍)と一緒に甲子園に行きたかった」と健大高崎に進学。

 関東大会では2試合7イニングを投げて3失点と役割を果たした。美しいフォームから放たれるキレのいい球に、豊かな将来性を感じずにはいられない。

【1年生の活躍の裏にある気質の変化】

 彼らの活躍には気質の変化も大きい。ひと昔前であれば、"スーパー1年生"は先輩たちからの嫉妬や厳しい指導の対象となりかねなかったが、今は時代が違う。石垣も佐藤も寮生活について「楽しいです」と声を揃える。

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