高校球界を席巻する「スーパー1年生」たち 最速145キロ右腕、名門の中軸を託された好打者など逸材ズラリ (2ページ目)

  • 高木遊●文・写真 text & photo Takagi Yu

 青柳監督が「上下関係はなるべくないように、何でも言える環境や風通しのよさは意識しています。1年生は慣れないことも多いので、まずは自分のことをしっかりできるように、掃除の当番などは上級生がやるようにしています」と言うように、1年生が順応しやすい環境づくりを心がけている。

 石垣に「中学ナンバーワン投手とも言われていた佐藤が入ると聞いて、マジかとは思わなかった?」と尋ねると、「ワクワクしました。ライバルがいるほうが燃えるんで」と、あどけない顔つきとは裏腹に闘争心を感じさせた。

 また佐藤に「上級生たちのなかで投げることに緊張はしない?」と聞くと、「緊張というよりも"自分の力を試せる"とワクワクしました」という答えが返ってきた。

 図らずも、ふたりとも「ワクワク」という言葉を口にした。競争や緊迫感を重圧ととらえず、楽しもうとする精神面が頼もしい。

 青柳監督は「彼らは高校球界でトップレベルの選手になると思います」と太鼓判を押しているが、それは決して願望ではなく、将来を見据えられるほどの心身の素質と強さがあるからだ。

【全国で存在感を示すスーパー1年生】

 入学後、存在感を示しているのは彼らだけではない。とくに昨年メキシコで行なわれたU−15W杯で、新型コロナウイルスに翻弄されながらもアメリカなどを破って4位となった侍ジャパンU−15代表選手たちは全国各地に散らばり、すでに活躍している選手もいる。

 佐藤と同じ左腕でチームを支えた坂本慎太郎は、取手シニア(茨城)から関東一高(東京)に進んだ。身長167センチと小柄ながら、130キロ台中盤のストレートとスローカーブなどの変化球を駆使し、この春の都大会準決勝の日大三高戦で先発すると、5回3安打、1失点の好投で関東大会進出に貢献。

 関東大会の常総学院(茨城)戦では「6番・レフト」で先発し4打数1安打。投げてはリリーフとしてマウンドに上がったが、3回4失点と悔しい結果に終わった。それでも坂本が優れているのは抜群の野球センスだ。中学3年時は、登板した公式戦は無敗で、中学硬式野球クラブ日本一を決める「ジャイアンツカップ」でも優勝に導いた。

2 / 3

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る