高校野球は新基準の金属バット導入でバッティングがどう変わるのか 試打した帝京高校の部員は「音に惑わされる感じがします」
高校野球「新基準バットでどう変わる?」前編(全2回)
2024年センバツ高校野球から採用となる新基準の金属バット。今秋の地方大会は現行バットとの併用が可能だが、その後はすみやかに切り替えが必要になる。
帝京高校(東京)では2年生以下が、すでに両方のバットを使って打撃練習を行なっている。チームにあるのはまだ限られた種類のバットだが、金田優哉監督が少しずつ事前準備をと、選手に試し打ちさせているという。
そんな選手たちに混じって、新バットに興味津々なのが前田三夫・前監督(現名誉監督)。監督になったばかりの頃はまだ木製バットしかなく、自身は勇退するまでノックバットは木製を使っていた。新バットは、その木製に近い仕様になるといわれている。
今回、前田氏や選手に新規格バットで試し打ちした感想をインタビュー。また、帝京野球部OBで新バットを手がけるメーカーのひとつ「ゼット」勤務の石神弘一氏に、製作サイドからの声も聞いてみた。
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●金属バット導入初期の思い出
ーー金属バットが導入されたのが1974年。その後50年間、記録と記憶において、バットは高校野球界に大きな影響をもたらしました。
前田三夫(以下、前田) 金属バットが導入されてまもなく、私の野球観を大きく変えたのが池田高校(徳島)のパワー野球でした。当時の池田の選手の豪快な振りを見て、彼らの使っているバットがすぐにほしいと思いましたね。
これが、「ゼットパワー」というシリーズでした。金属の厚みがすごく薄いのが特徴で、取り入れてみると本当によく飛びました。ただすぐに割れてしまい、経済的にはいいとは言えませんでしたが。
また金属バットの出始めの頃、よくベンチ裏でバットを冷やしているチームを見かけました。金属をキンキンに冷やしたほうが飛ぶという見解で、打席の直前に氷水の中からバットを取り出して使っていた。真意のほどが定かでないですが、当時ならではのユニークなエピソードですね。
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