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高校野球は新基準の金属バット導入でバッティングがどう変わるのか 試打した帝京高校の部員は「音に惑わされる感じがします」 (4ページ目)

  • 藤井利香●取材・文 text by Fujii Rika
  • 村上庄吾●撮影 photo by Murakami Shogo

●「手打ちでホームランはもうできない」

ーー選手にも試し打ちをした感想を聞いてみましょう。

奈良飛雄馬(内野手・2年) 長距離ヒッター用・ヘッドバランスのバットを使ってみました。打った瞬間、キーンという高い音がしたのが印象的。ただ、音のわりにはそれほど飛んでいないというのが何本かありました。音にちょっと惑わされる感じがします。

 手打ちでスタンドに持っていけたというような打球はもうないと思うので、下半身からしっかり使って体重を乗せる打ち方を常にしないといけない。でも、細いというのがメリットになって振りやすいのは確かです。

 重さはこれまでと一緒でも、うまくバットが出ていく感覚があります。飛ばない感じはあっても、飛ばせないという意識はない。このバットならではのコツがあると思うので、少し時間はかかるかもしれないけど打ちながらそれを探っていきたいです。

2年以下の選手は新基準バットも練習に取り入れている2年以下の選手は新基準バットも練習に取り入れているこの記事に関連する写真を見る西崎桔平(内野手・2年) 今までは打った瞬間、ボールがバットにのる感覚があったんですが、新しいバットは当たってすぐに弾く感じがあります。ボールを引っ張れない、運ぶ感覚が薄いというか。半面、細いので意外と振り抜きやすいと思いました。

 インコース高めのストレートなど今まで詰まり気味だったのに、うまくレフト方向へもっていけてびっくり。低反発と聞いてマイナスイメージが強いけど、自分としては苦手なコースを克服できそうだという手応えがありましたね。バットの操作性というのはバッターにとって生命線なので、振り抜きやすさは大きなプラス面ではないかと思います。

 あと、打ち損じのフライでも今までのバットなら高く上がるんですが、上がらないなという印象があります。投手の投げるボールを利用して打つのが野球。うまくタイミングをとり、ヘッドを寝かせてボールとのラインにしっかりバットを入れないと、そう簡単にヒットが出ない気がします。低反発で当たりが弱ければ、野手に簡単にさばかれてしまいます。

 タイミングをしっかり合わせて打ち損じをせず、ヒット性の当たりを増やしていくという練習が必要かなと思います。反対に守るほうとしては打球が弱まる分、怖さが少ないかもしれません。ミスが致命傷になると思うので、守りのほうも確実性を高めていきたいです。

ーーありがとうございます。後編では、新基準バットが高校野球にもたらす変化を考えていきたいと思います。


後編<新バット導入で高校野球がどう変わるか 名将・前田三夫が展望「大味な試合は減る」「チームづくりは年ごとに変化があるかも」>

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