「医師か、プロ野球か」悩めるドラフト候補、三重・高田高校の中山勝暁が心境を吐露

  • 菊地高弘●文・写真 text & photo by Kikuchi Takahiro

 三重県に医師になるかプロ野球選手になるか、迷っている高校生がいる。その噂はじわじわと広まりつつある。

 高田高校の中山勝暁。「勝暁(かつあき)」という名前は、部首にある「月」と「日」に見守ってもらえるように......という両親の願いがこもっている。

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【野球は中学でやめるつもりだった】

 母方の祖父が外科医だったことから、中山は幼少期から医師に対して漠然とした憧れを抱いていたという。

「病院で患者さんから『ありがとうございます』と言われている祖父を見て、お医者さんってすごいな。自分もなりたいなと思うようになったんです」

 中学校は中高一貫で6年制教育を施す高田中学へ。6年制の高田中高は東京大、京都大、名古屋大といった名門国立大の合格者を輩出している。そして、三重大医学部に進学する卒業生が毎年20〜30名もいるため、中山は高田中学を受験したのだ。

 その一方で、野球選手としての中山も萌芽の時を迎える。

 高田中軟式野球部で3年夏まで捕手としてプレーした中山は、引退後に友人と公園でキャッチボールをするなかでこんな思いにとらわれる。

「ピッチャーのほうがよくね?」

 もともと肩の強さには自信があったがコントロールが悪く、速い球を捕球できる捕手もいなかった。だが、久々に遊び感覚で投球練習をしてみると、思いのほか感覚がよかった。そこで中山は、メンバーに選ばれていた津市選抜に「思い出づくりのつもり」で投手として参加する。

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