同級生はアイドル、副主将は女子。
異色の高校野球部・大阪学芸とは? (7ページ目)
チーム改革の一案であり、もちろん井坂の人柄、観察眼も期待してのものだったが、本人は戸惑った。井坂が当時を振り返る。
「マネージャーとして練習がうまくいくようにサポートしてきましたが、これからは選手のなかにどんどん入っていこうと。前向きに考えました」
女子ならではの細やかな視点を生かし、選手たちの動き、表情から、彼らがいま何を考え、何に悩んでいるのかを感じ、積極的に声をかけるように心掛けた。陰で選手たちをフォローした井坂の副キャプテン起用も、今のチームをつくり上げた重要なファクターだ。
それにしても――「るみちゃん」「るみ姉」とナインから慕われる女子の副キャプテンに、アイドルやモデルたちと授業を受ける野球部員もいる。イノシシが現れるグラウンドに、標準語をしゃべる元プロ監督......。大阪っぽさはないし、強豪私学の雰囲気ともまた違う。小笹監督が言う。
「夏に関しては、これまで見てきた6年のなかでいちばん力があります。普段の力を出せれば、大阪に面白い風を起こせると思っているんですけどねぇ」
どこか他人事のように力みなく語る小笹監督のこの空気に、選手たちが乗っていけば......。まずは22日に行なわれる大商大堺との大一番だ。ここに勝てば、「もしかして......」の期待も一気に膨らむ。「大阪の夏は甘くない」ことは十分承知しているが、激戦地・大阪で展開される"エンジョイ・ベースボール"の行方を追ってみたい。
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