【箱根駅伝2026】出雲駅伝で全区間5位以内、過去最高の3位に入った創価大は「吉田響の抜けた穴」をどう埋めたのか? (2ページ目)
【ムチーニ「3位は、全員の勝利」】
小池とともにケニア合宿に行った山口も、5区で区間4位と及第点の走りを見せた。
「5位で前が見える位置で襷をもらえたのですが、暑くて後半苦しい展開になると思ったので、できるだけイーブン(ペース)で行って、そこから耐えて粘る走りをイメージしていました。実際に後半に粘れたので、ケニアで走った練習の成果が出たかなと思います」
3区で区間5位のムチーニは「3位は、全員の勝利」と笑顔を見せた。
「出雲は初めて走りましたが、自分にとってはタフなレースになりました。最初はまったく問題なく走れていましたが、ラスト3キロから急に疲れてしまい、区間順位を下げてしまいました。最低限の走りはできたけど、駅伝はよい時もあれば悪い時もある。次はもっといい結果を出したいです。(吉田響さんはいなくなりましたが、その分、)全員がよりハードワークするようになった。そこが成長しているところだと思います」
夏合宿を順調に終え、出雲駅伝に出場した関東10校の10000m平均タイム(エントリー選手の上位6人)では、中央大、國學院大に次いで3番目(28分26秒52)、青山学院大よりもひとつ上だった。
ただ、自信はあったが、駅伝はやってみないとわからない。不安と期待が入り混じるなか、個々の選手が今季、積み重ねてきた練習の成果を発揮し、目標の3位以内、さらには優勝も狙える位置でレースを進めることができたわけだが、その裏には榎木監督の絶妙な区間配置もあった。
レース前日、榎木監督は自信に満ちた表情でこう語っていた。
「調子のいい3人(織橋、小池、ムチーニ)を前(1~3区)にそろえられました。1区は、織橋か石丸(惇那・4年)で迷ったのですが、織橋はラスト勝負がしっかりできるようになり、石丸は単独で押していける力があるので、1区織橋、4区石丸(惇)でハマった感じです。
3区までは他大学の留学生や強い選手がいるので、4区の石丸(惇)で抜けて、5区の山口は向かい風でも追い風でも暑くても走れる選手。前回、急遽3区をまかせて少し荷が重いなかでもいい走りをしてくれたので(区間4位)、今回は身軽になったぶん、爆走してくれると思います。そうして最後は、野沢が締めてくれる。今回は、自信を持った6人を配置できました」
その言葉通りに、レースは展開した。1区から最終6区まで全員が区間5位以内という安定した走りを見せた。4位だった前回、区間5位以内で走ったのは吉田響と4区の吉田凌(現・JR東日本)だけだったが、今回は全員が想定通りの走りを見せた。それだけ個人の力が上がったことの証左でもある。榎木監督もこう語る。
「力がついたと思いますね。でも、優勝を狙うとなると、全員が区間3位以内、もしくは誰かが区間賞を獲らないと厳しいでしょう。それぞれの選手があと5秒、10秒、足りていないことが、今回優勝した國學院大との53秒の差になって出ています。来年には『優勝を狙います』と言えるようなチームづくりをしていきたいと思っているので、もうワンランク、ツーランク、個々がレベルアップしていければと思います」
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