大迫傑、渡辺康幸の早稲田大学記録を塗り変えた新エース・山口智規の決意「個人では日本選手権入賞、三大駅伝では佐藤君(駒大)の好きにはさせないぞ」 (3ページ目)

  • 和田悟志●取材・文・写真 text & photo by Wada Satoshi

【個人でも駅伝でも、さらなる高みへ】

――昨季の終盤は、ひとりで練習をやることが多かったと話していました。現在はどうでしょうか?

山口 日本選手権10000mに向けては、ひとりで練習しています。日本選手権で勝負したいと思ったら、ひとりの練習も全然苦ではないですし、自分のペースで淡々と走ったほうがラクな面もあります。でも、地味な練習はやっぱり集団でやったほうがラクですね。

――1500mや5000mの強化という点では、同級生にスピードランナーの間瀬田純平選手がいますし、1年生には800mで高校歴代4位(1分47秒97)の記録を持つ立迫大徳選手や吉倉ナヤブ直希選手といった中距離を得意とする選手が入ってきました。

山口 間瀬田は距離を伸ばして、大志さんとかと練習することになると思いますが、1年生ふたりとスピード練習をやってみたいです。

――日本選手権10000mはどのような目標を立てていますか?

山口 優勝争いをしたうえで、3番以内を目指したい。最低でも入賞したいねって、花田さん(勝彦、駅伝監督)とも話をしています。

 塩尻和也さん(富士通)、太田智樹さん(トヨタ自動車)、相澤晃さん(旭化成)の3人(昨年12月の前回大会のトップスリー)が強い印象です。ラスト3000mでペースが上がり始めたら勝機がないかもしれませんが、ラスト1000mからペースが上がるようなレースで、なおかつ、27分30秒ぐらいのフィニッシュタイムになるなら、チャンスはあるかもしれない。それ以上のタイムになったら現実的ではないので、スプリント勝負になったら面白いんじゃないかな、と思います。(学法石川高の先輩に当たる)相澤さんと初めて走るので、そこが楽しみです。

――今季の目標をお聞かせください。

山口 まだ5000mは出場できるかわかりませんが、10000mと5000mの2種目で日本選手権入賞を目指したいです。来年の世界選手権も考えて、10000mや5000mのタイムを気にしながら、まずは両方で早大記録を作りたいと思います。

 三大駅伝では、区間賞が当たり前って言われるような活躍をしたいです。佐藤君(圭汰、駒澤大3年)の好きにはさせないぞ、ぐらいの気持ちで今年は臨みたいです。

【Profile】山口智規(やまぐち・とものり)/2003年4月13日生まれ、千葉県出身。学法石川高(福島)―早稲田大3年。高校3年時にはインターハイ1500mで8位入賞。学生三大駅伝は1年時の全日本大学駅伝4区でデビュー(区間3位)を果たすと2年時には関東インカレ1部5000m3位、出雲駅伝2区区間3位、全日本大学駅伝2区区間4位、箱根駅伝では2区区間4位と好走すると同時に渡辺康幸が保持していた2区の早大記録を29 年ぶりに更新。また、昨年11月の上尾ハーフでは大迫傑の持つハーフマラソンの早大記録も塗り替えた。2月の日本選手権クロスカントリーで優勝を果たし、3月の世界クロスカントリーにも日本代表として出場を果たした(61位)。自己ベストは、1500m3分46秒40、5000m13分34秒95、10000m28分17秒87、ハーフマラソン1時間01分16秒。

プロフィール

  • 和田悟志

    和田悟志 (わだ・さとし)

    1980年生まれ、福島県出身。大学在学中から箱根駅伝のテレビ中継に選手情報というポジションで携わる。その後、出版社勤務を経てフリーランスに。陸上競技やDoスポーツとしてのランニングを中心に取材・執筆をしている。

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