東大医学生で三段跳の大学日本一。内山咲良は競技と学業の両立の悩みに「ものすごくいい解決策はない」 (6ページ目)

  • 宮部保範●取材・文 text by Miyabe Yasunori

ーー少しホッとしました。それはともかく、いよいよ医師国家試験が迫っていますね。晴れて合格したら、どんな医師になりたいと考えていますか?

内山 
とても悩ましいところではあります。そもそもどの分野に進みたいのかも、あんまり決まっていない。ひとつの道として、スポーツ医学に携わるのもいいかなと思うようになっています。産婦人科を志して女性アスリートのサポートを自分の経験を生かして形にできたらいいんじゃないかなとは考えています。

ーー最後に、受験を控えた後輩のみなさんや、スポーツと勉強の両立に悩む学生たちへのメッセージをお願いします。

内山 ひと言では収まらないかもしれないな。私自身、中学・高校、大学とずっと部活をしていて、でも勉強も頑張らなければいけない状況です。けれど、やっぱり部活で疲れちゃうんです。勉強をあまり頑張りきれていないので、なんで部活をしてるんだろうと思ってしまうこともいっぱいありました。だから、勉強と部活との両立で悩む気持ちは、ものすごくよくわかるんですよね。

 ただ、なにかものすごくいい解決策があるかって言われると、正直ないと思っています。なにかをやったら魔法みたいな感じで、どっちもOKとはならない。やっぱり、自分にとってどっちも大事だったら、他の人よりも頑張らなきゃいけない。そこを貫き通したいんだったら、もう覚悟を決めて頑張るしかない。それだけだと思うんですよね。

 あなたが進んでいるその方向は間違っていないと思うから、自分がほしいと思うものに向けて頑張ってください。言えるのは、それだけかなと思います。

(終わり)

<profile>
内山咲良 うちやま・さくら
1997年、神奈川県生まれ。東京大医学部医学科6年。筑波大附属中・同高を経て、2016年に東京大理科3類に現役合格。陸上競技は中学時代からスタートし、高校3年時には走幅跳で全国高校総体(インターハイ)出場。大学入学後に三段跳を始め、昨年9月の日本学生対校選手権(インカレ)女子三段跳で自己新記録13m02を出して優勝した。

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