東大医学生で三段跳の大学日本一。内山咲良は競技と学業の両立の悩みに「ものすごくいい解決策はない」 (2ページ目)

  • 宮部保範●取材・文 text by Miyabe Yasunori

ーー勉強をしていても、頭が真っ白になるような感覚には出会えない、と。

内山
 少なくとも勉強しながら死にそうになったことはないと思います。ただ、すごく集中していて、何かひとつ乗りきったなっていう時には勉強でも疲れはしますが、やっぱり頭で考えていることはいっぱいあるような気がします。反射レベルというか、もう考えられないんだけど体が反応しているというトレーニングでの体験は勉強をしていても起きないんですよ。その感覚はすごい快感ではあります。

ーー自身で立てた計画が結果につながった時の喜びについて教えてください。

内山
 ただうれしいよりは、壁を打ち破ったんだという爽快感といいますか、ぐっと息を止めて潜ったあとに、水から一気に出てきたように突き抜けちゃった感じがしますね。独特の感覚があると思います。

ーー陸上を続けるなかで、その感覚を最も味わえたのは、どんな時でしたか?

内山 一番うれしかったのは、(昨年9月の)日本インカレで自己ベストの13m02を出して優勝できた時です。私にとっては、もぎ取ったベストだったかなという感覚があるからか、本当にうれしかったです。

ーーもぎ取った、というのは?

内山
 インカレ前の(8位だった)日本選手権では、少し崩れてしまっていたんです。自分の体を見つめ直して、こういう方向でトレーニングしようというのを決めて、かつ、新しいことにも挑戦しようというのをひとつ入れて、インカレに向かって心と体が崩れないギリギリのラインを攻めて練習できました。本当にギリギリのところ、もうこれ以上やったら崩れるところで大会に合わせて出した記録でした。

内山選手は昨年、インカレ女子三段跳を制した内山選手は昨年、インカレ女子三段跳を制した

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