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箱根駅伝予選会で好走。昨季スーパールーキーと呼ばれた逸材など本戦でも注目の3選手 (2ページ目)

  • 佐藤俊●文 text by Sato Shun
  • photo by KYODO NEWS

 中央大吉居大和(2年)も児玉同様に、このレースで復活を印象づけるすばらしい走りを見せた。中央大は今回、予選会で2位通過を果たしたが、そのチームにあって吉居は1時間2分51秒でチームトップのタイムを叩き出した。

 吉居は、1年時、スーパールーキーとして三浦龍司(順天堂大)とともに陸上界に新風を吹かせた。5000mでは、13分28秒31のU20(20歳未満)日本記録をマークし、全日本インカレの5000mで驚異的なラストスパートを見せて優勝。箱根予選会でも一時、日本人トップを走り、最後は三浦に敗れたが、チームのトップをマークし、箱根駅伝出場に貢献した。

 だが、2年目のジンクスなのか。2年目に向けてさらに飛躍するために1年生の終わりにアメリカに行ったが、帰国後、なかなか調子が上がらなかった。

「アメリカに行って、春のシーズン、調子が上がらなかったのでアメリカに合わなかったんじゃないかって思われていると思うんです。もちろんそれもあったのかもしれないですけど、それだけはありません。調子が上がらない原因がわかったらこんなに苦しむことはなかったと思うんです」

 不調の原因がわからず答えを探しつづけ、トラックシーズンは苦しんだ。3か月ぶりに出場したレース、9月の全日本インカレ5000mも14分12秒80で11位に終わった。

「前半シーズン、自分が思うような走りができず、悔しかったです。トラックでは結果が出なかったですけど、距離に対する苦手意識を克服するために夏合宿でしっかりと走りこみをしましたし、その手応えも感じていました。今日は、自信をもってスタートラインに立てました」 

 レースは昨年の予選会のような積極的な走りを見せた。日本人のトップ集団に入り、粘り強くしっかりとついていった。

「風が非常に強かったので、大きな集団のなかで様子を見ながら走っていました。最後、その集団をかわしきれなかったことは課題ですね。でも、最後まで前で走ってラストスパートで勝負ができ、久しぶりに自分の走りができたと思います。前半シーズンのように粘ることができずにズルズル落ちていくという状態にならなかったのは、大きな収穫でした」

 もともとスピ―ドはあったが、スピード持続力が戻り、粘りも出てきた。これから全日本大学駅伝、箱根駅伝に対応していけるだけの力が戻ってきていることを確認できた。箱根では、リベンジに燃えている。

「前回の箱根では自分は失速してしまったので(3区15位)、個人的にはそのリベンジをしたいと思います。チームとしてはシード権をとるのが目標になります。希望区間は、1区ですね。単独走よりもよーいドンからの集団走のほうが自分の持ち味が出ると思っているので。ただ、最終的には任された区間で結果を出して、チーム全員で笑って終われるように頑張りたいと思います」

 吉居の復活は、戦力としてはもちろん、チームの士気を高め、一体感を生む源にもなった。全日本、箱根とエースを軸とした中大は、大きな風を吹かせてくれそうだ。

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