2021.10.20

東京五輪で大活躍、広がる田中希実の夢。800mでは「来年、日本女子初の1分台も狙いたい」

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • photo by YUTAKA/AFLO SPORT

 東京五輪で1500mと5000mに初出場をした田中希実(豊田自動織機TC)。世界の選手と比べると小柄ながらも、日本新記録を出すなどしっかりと爪痕を残した。それから約2カ月が経った現在、五輪を振り返るとともに、これから進んでいきたい道について聞いた。

東京五輪では1500mで日本人初の入賞を果たした田中希実東京五輪では1500mで日本人初の入賞を果たした田中希実  東京五輪で最初に出場した種目は5000m。予選では、ラスト300mは着順での決勝進出圏内の4位通過ながら、最後のスプリント勝負で6位に下げると、14分59秒93の自己ベストを出しながらも決勝進出を逃した。

「2019年世界選手権の5000mで、決勝に進めて15分00秒01(当時日本歴代2位)を出した時に手応えを感じられたことで、東京五輪でも5000mが成績を残しやすいのではないかと思っていました。なので、今回の予選落ちは悔しかったし、世界のレベルがすごく上がっているなとも感じました。

 だけど、実力で負けたというよりは運で負けたという気がしています。予選を勝ち抜いた(廣中)璃梨佳ちゃんの組とは、まったく違う展開で落ちたので、力負けしたという気持ちはあまりありませんでした。そこが、すぐに1500mに切り替えられた要因だったと思います」

 その1500mでは、日本新の4分02秒33で予選を通過。準決勝では日本人女子初の4分切りとなる3分59秒19で決勝進出を果たし、決勝でも3分59秒95で8位に入賞と、大会前の予想を大きく上回る大健闘の走りとなった。

 東京五輪に向けて主軸としていたのは5000mだが、昨年の夏から800mや1500mに積極的に取り組んでいた。それは世界で5000mのラスト勝負をするためには、両種目で日本トップレベルのスピードが必要だと考えたからだった。

「1500mは去年、日本記録を出したことで東京五輪の参加標準記録の4分04秒20が見えて、記録が出せなかったとしても世界ランキングで出場権を得られるかもしれないとわかって貪欲になった感じです。卜部蘭さんはずっと1500mで日本人初出場を目指していたので、自分もそれを果たしたかったし、卜部さんとはずっと1500mでライバルとして競い合っていたので、負けたくないという気持ちもありました。お互いに切磋琢磨できたことで、ふたり一緒に出場できたのかなと思います」