「日本人選手は弱いから」。井上大仁が
語る「強くなりたい」という覚悟 (3ページ目)
「今年はレースがないので、短期の目標が立てにくい。でも、逆にのびのびと走って、リフレッシュできる場を与えられたと、ポジティブに練習しています。マラソンは勝つことも大事ですが、タイムは自分の力の指標です。いいタイムを出せば、勝負に対しても自信と気持ちの余裕が生まれるので、そこは意識して練習しています。ニューイヤー駅伝は前回と同じく4区を任されると思うのですが、前回よりも速く、強くなってチームの優勝に貢献したいです」
今後、井上が目指すアスリート像についてはどう考えているのだろうか。
「長期の目標は世界で戦える選手になること。勝負に勝つタフさを身につけ、たとえばエウリド・キプチョゲ選手のようなアスリートになりたいですね。修行僧みたいにストイックですが、レースを見ていてワクワクするし、体の底から『頑張ろう』っていう気にさせてくれる。自分もいろんな人に夢を与えられるような存在になりたいです」
以前は、SNSでの発信はほとんどなかったが、三菱重工マラソン部に名前が変更になったのを機に、井上は積極的にツイッターで投稿するようになった。MGCや東京マラソンで「感動した」「面白かった」という声をたくさんもらい、当時はそうした声に気持ちが救われたという。
井上があらためてSNSを始めたのは、その自覚と覚悟の現れのような気がする。結果だけを見せるのではなく、自ら多くのファンに語りかけることで、井上という選手の魅力がさらに伝わっていくことになる。
駒澤大時代は3年連続して箱根2区を走った山下一貴 そんな井上を追い越そうと、今年、有望なルーキーが加入した。それが山下一貴である。
駒澤大では2年から4年まで3年連続して箱根駅伝の2区を走り、昨年の出雲駅伝では1区を2位、全日本大学駅伝ではアンカーを任され3位入賞に貢献した。常に安定した走りで大八木弘明監督からの信頼が厚く、関東圏の実業団から声がかかっても不思議ではなかった。そんな山下が三菱重工マラソン部を選んだ理由はこうだ。
「一番は地元・長崎のいいチームだからです。それに自分はマラソンをやりたかったので、迷いはまったくありませんでした。本当は高校卒業してすぐに入りたかったのですが、その時は縁がなくて......なので、駒澤大に入学した時から大八木監督には『三菱(重工)に行きたいです』と伝えていました」
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