2020.12.29

箱根駅伝「花の2区」を彩ったエースたち。渡辺康幸、相澤晃らの快走

  • 酒井政人●文 text by Sakai Masato
  • photo by Sankei Visual

 近年は山上りの5区が注目を集める箱根駅伝だが、もっとも華やかな区間といえば、エースたちが名勝負を繰り広げてきた"花の2区"を挙げるファンが多いだろう。第37回大会(1961年)から、逆行する9区とともに最長区間(第82回から第92回までは、小田原中継所の位置の変更で5区が最長)となり、各校のエースが集まるようになった。

 現在の2区は鶴見中継所から戸塚中継所までをつなぐ23.2㎞。再計測による誤差などで距離の数値は変わっているが、第59回大会(1983年)から現在まで、エースたちは同じコースを駆け抜けてきた。歴代の区間賞を見ると、中央大・岩下察男、順天堂大・澤木啓祐、東京農業大・服部誠、早稲田大・瀬古利彦といったレジェンドたちの名前が記されている。

 筆者は当時の箱根駅伝を見ていないが、第69回大会(1993年)からの3年間はかなり熱心に視聴して、第72~75回大会(1996~1999年)には、関東学連に所属する陸上部員として箱根駅伝を経験。その後はスポーツライターとして取材を重ねてきた。そこで強く印象に残っている"花の2区"を彩ったエースたちを振り返ってみたい。

 華麗な走りが真っ先に思い浮かんだのは、早稲田大の渡辺康幸(現・住友電工監督)だ。2区は1年時(1993年)、3年時(1995年)、4年時(1996年)に走り、いきなり日本人1年生最高の1時間8分48秒をマークした。

早稲田大のエースとして、ファンに語り継がれる渡辺康幸早稲田大のエースとして、ファンに語り継がれる渡辺康幸  3年時には、ライバルである山梨学大のステファン・マヤカの見えない背中を追いかけて、ハイペースで突っ込み、区間記録(1時間7分34秒)を一気に46秒も短縮する1時間6分48秒という大記録を打ち立てている。マヤカに勝つために「1時間6分台」という目標タイムを掲げたことが、前人未到の記録につながった。

 10000mで27分48秒55の日本学生記録を樹立した4年時の箱根では、トップと37秒差の9位から8人抜きでトップを奪い、前年に続いて1時間6分台で走破。2位に1分35秒の大差をつけ、チームの往路優勝に大きく貢献した。