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「日本人選手は弱いから」。井上大仁が
語る「強くなりたい」という覚悟 (4ページ目)

  • 佐藤俊●文 text by Sato Shun
  • photo by Sato Shun

 マラソンを志す山下にとって大きかったのは、駒澤大で練習を積めたことだ。

「ここで練習していれば強くなれるんだと思っていました。レースで結果も出せたこともそうですが、(中村)匠吾さん(富士通)さんの存在も大きかった。練習している時の匠吾さんはすごすぎて参考にならなかった。たまに一緒に走らせてもらう時があったのですが、次元が違いすぎて......でも、ここでやれば匠吾さんのようにという思いがあったので、それを間近で見られたのはよかったです」

 大学時代、大八木監督からマラソンで戦っていくための心構えを何度も説かれた。そして卒業時、こう声をかけられたという。

「井上(大仁)を越えろよ!」

 三菱重工に入社し、半年以上が過ぎた。日常生活はだいぶ慣れてきたというが、チームの雰囲気はどう感じているのだろうか。

「大人だなぁと(笑)。実業団は走るのが仕事ですので、ケアも食事も大事にしていますし、オンとオフの切り替えがうまい。大学時代はそれができていない選手が何人かいましたから」

東大出身ランナーも世界を目指すGMO>>

 練習についてはどうか。

「当たり前ですが、練習量は多いですね。チームには距離を踏む先輩が多いので、自分に合っていると思います。なかでも木滑さんは月間1300キロぐらいのペースで走っていましたが、そんなに走るなんて大学時代は聞いたことがなかった。やっぱりマラソンをやっている人は違うなって。自分も刺激を受け、ジョグの距離とか増やして走るようにしています」

 そして山下がもうひとつ違いを感じたのが注目度だ。

「会社ではよく井上さんが取材を受けているのを見ますが、実業団で注目されるのはチームというより個人ですね。大学は駅伝がメインなので、チームとして取り上げられます。それに箱根駅伝になると、メンバーに入れるかどうかの選手まで取り上げられます。大会の大きささとともにメディアの扱いが違います。いろんな人に見られている感じがありました」

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