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「日本人選手は弱いから」。井上大仁が
語る「強くなりたい」という覚悟 (2ページ目)

  • 佐藤俊●文 text by Sato Shun
  • photo by Sato Shun

 MGCへの挑戦が失敗に終わり、雪辱を晴らすべく挑んだ東京マラソンでのファイナルチャレンジ。井上は先頭集団にくらいつく強気のレース展開を見せた。最終的に代表の座は獲得できなかったが、その走りは今後に期待を抱かせた。

「東京マラソンで、持っているものはすべて出し切ったと思います。でも、やっぱり勝たないと面白くないし、悔しい気持ちが大きい。途中まで先頭集団についていけたとしても、ゴールまで勝負できないと話にならない。今はそれができるように、気持ちを新たに練習に取り組んでいます」

 MGCも東京マラソンも東京五輪の代表選考を兼ねていたということもあり、大きな盛り上がりを見せた。ただ、実業団のレースは国民の関心がもうひとつで、あまり盛り上がっていないのが現状だ。MGCのようなレースを考えることも必要だが、その前にすべきことがあると井上は言う。

「レースが盛り上がらないのは、自分を含めて日本人選手が弱いからだと思います」

 日本の陸上界の現実を見てのことだが、そうした考えに至ったのはある言葉がきっかけだった。余暇に愛読する『週刊少年ジャンプ』(集英社)に『ハイキュー‼』というバレーボールのマンガがあり、そのなかにこんなセリフがある。

<見ていて面白くないのは強くないから>

「ウサイン・ボルト選手がびっくりするようなタイムを出したり、モハメド・ファラー選手がドキドキするようなレースをすると、すごく盛り上がりますよね。この選手は、何をやってくれるんだろうって見ることで注目度が高くなって、そういうなかでレースをすることでタイムが伸びてくる。そうなるには強くないとダメです。いくらレースをお膳立てしてもらっても、選手に力がないのであれば盛り上がらない。自分たちがもっと強くなって、世界と戦えるようになって初めて、もっと盛り上げてくださいと言えるのかなと思います」

 今年はコロナ禍の影響で多くのレースが中止、延期となり、プランが立てにくい状況にある。だが、井上は非常に前向きだ。

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