【東海大・駅伝戦記】主将が進める「箱根で勝てるチーム」への改革 (5ページ目)
「勝つイメージを作りたいですね。力はついてきたと思うんですけど、駅伝では勝ったことがない。イケそうだと手応えはあるのですが、そこから本当に勝つのはすごく難しい。実際、昨年は思い通りの結果を出すことができず、悔しい思いをしました。勝つイメージをしっかりと作り上げていくのは難しいことでしょうが、『これだけやったから勝てる』と思えるような夏にしていきたいです」
昨年は前評判が非常に高く、出雲駅伝ではアンカーまで首位に立っていた。しかし、勝てなかった。その後、全日本ではシード権を失い、箱根ではシード権確保がギリギリの10位に終わった。力があるはずなのに出し切れないのは、本物の力になっていないのではないか。そんな思いを各自が背負い、上半期はそれぞれがさらに"個"を磨いてきた。春日のいう勝つイメージは、その個に「チームとしていかに戦うか」という意識づけを浸透させることのような気がする。個々に秀でた力が備わったとしても「For the Team」の精神がなければ、駅伝は勝てないからだ。
「夏は合宿がバラバラで全員が同じ流れというわけにはいかないので、各地の4年生と連絡を取り合って、チームをまとめていきたいと思います」
春日は落ち着いた声でそう言った。主将ひとりではなく、4年生全体でチーム創りを進める。夏に鍛えられたそれぞれのチームが最後にまとまれば、強固な団結力を持ったチームが完成するだろう。春日にはそういう絵が見えているのかもしれない。
8月5日、白樺高原での全体合宿から東海大の夏が始まった......。
(つづく)
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