【東海大・駅伝戦記】予選会で好走も「ここは自分たちの舞台ではない」

  • 佐藤 俊●文 text by Sato Shun  photo by Yutaka/AFLO SPORT

昨季、箱根駅伝では上位進出が期待されたが、総合10位に終わった東海大昨季、箱根駅伝では上位進出が期待されたが、総合10位に終わった東海大東海大・駅伝戦記 第1回

 今季の大学駅伝で、ダークホース以上の存在になると目されているのが東海大だ。就任7年目となる両角速(もろずみ・はやし)監督の指導が年々浸透し、昨季、圧倒的なスピードで話題をさらった1年生の關颯人(せき・はやと)、館澤亨次(たてざわ・りょうじ)、鬼塚翔太らが経験を積み、着実に成長を遂げている。加えて、今年の新入生も粒揃いだと聞く。

 青学大の箱根4連覇を阻むのは東海大か? 春シーズンを振り返り、これからシーズンの集大成となる箱根駅伝まで、その奮闘ぶりを追っていく。

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 今にも雨が降りそうな怪しい雲行きの中、第1組のレースが始まろうとしていた。バックスタンドに各大学の横断幕が掲げられ、メーンスタンドは大勢の陸上ファンや大学関係者、家族、学生で埋まっている。

 トラックには40名の選手が並び、スタートの号砲を静かに待っていた。各大学の部員たちの応援が熱を帯びていく。

 東海大学の両角速監督はメーンスタンド前の第4コーナー辺りにストップウォッチを持ち、主務の西川雄一朗とともに立っていた。

 17時30分、1組目のスタート時間だ。シーンとスタジアム全体が静まった――。

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