【東海大・駅伝戦記】予選会で好走も「ここは自分たちの舞台ではない」 (8ページ目)

  • 佐藤 俊●文 text by Sato Shun  photo by Yutaka/AFLO SPORT


「今回は、今までメンバーに入れるかどうかで迷っていた小松、郡司、また駅伝のメンバーに入っているけど走れなかった湯澤とか、1、2組の選手がプレッシャーのかかる中、とてもいい走りをしてくれた。それはチームにとっても彼らにとっても大きな財産になったと思います。この経験は秋の駅伝シーズンに効いてくると思いますね」

 昨年、スーパールーキーの活躍で注目を浴びた東海大だが、それは鬼塚、關、館澤らごく一部の選手だけだった。ひと皮むけた小松たちの走りは彼らを刺激し、これから部内競争を激化させていくだろう。そうしてチームの質と力が向上していくのだ。
 
 スタジアムの待機場所で、走り終えた8人の前に立った両角監督は選手の労をねぎらった。解散すると、両角監督は足早に外に出て行った。

「今日は、まぁ予想よりはいい出来だったと思います。3組までずっとひと桁の順位で来られましたからね。目指すところは今日のレースではないですけど、ひとつひとつやっていかないといけないので、まずはひとつ乗り越えたという感じですね」

 しかし、そこに笑顔はなかった。今日走った選手たち、両角監督からは、これからは選考会を「走らなくてもいいレース」にするという決意みたいなものが感じられた。チームの総合力、個々の能力からすれば、6位以内のシードは十分に獲れる。この緊張感が伴う経験は血肉になるが、自分たちが狙うところはここじゃない。

 そんな東海大のプライドを垣間見ることができた選考会レースだった。

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