【東海大・駅伝戦記】予選会で好走も「ここは自分たちの舞台ではない」 (6ページ目)

  • 佐藤 俊●文 text by Sato Shun  photo by Yutaka/AFLO SPORT


 4組は最終レースになる。この最終組のメンバーには9位内を維持するため、あるいは逆転して出場権を獲得するために、どの大学もエースを投入してくる。

 今回でいえば、神奈川大の鈴木(4年)、山藤(3年)、順天堂大の塩尻和也(3年)、明治大の坂口裕之(3年)、法政大学の坂東悠汰(3年)たちだ。

 さらに、ここにパトリック・マゼンゲ・ワンブィ(日本大・3年)ら留学生たちが加わる。3組までのレース展開とは異なり、レースは早いペースで進行することになるだろう。東海大のラストを任されたのは、關と松尾だった。

 雨の中、レース序盤からワンブィら留学生が引っ張る。最初の1000mは2分48秒だったが、5000mは14分19秒で他組よりも20~30秒早いペースだ。

 關と松尾は集団の真ん中あたりに位置し、様子をうかがっている感じだった。7000m通過は19分58秒、集団がバラけてきた。ラスト1000mになるとワンブィが抜け出し、坂口、塩尻、鈴木が追う。關は苦しそうに表情が歪み、スピードが上がらない。それでも粘って走って11位でフィニッシュ。松尾は20位に終わった。結果、チーム成績は神奈川大に次ぐ2位となった。

 松尾の表情は悔しさでいっぱいだった。

「最初は緊張とか全然なかったんですけど、意外と体が固まっていたのかなぁって思いました。レースは......うーん、悔しいですね。神大の鈴木さんと山藤さんはちゃんと、ひと桁をキープしていましたし、そういう意味では自分はまだまだ力不足だと思います。これからしっかり力をつけて、11月にリベンジできるようにしたいです」

 スピード強化に努めてきたが、その成果が出るのはもう少しあとになりそうだ。

 西出仁明コーチ曰く「ちょっと調子を落とし、心配だった」という關は、さすがに少し疲れた様子だった。

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