【東海大・駅伝戦記】館澤が1500m優勝。このスピードを箱根で使う

  • 佐藤 俊●文 text by Sato Shun  photo by Nakamura Hiroyuki/PICSPORT

東海大・駅伝戦記 第2回

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 思わず腰が浮いたデッドヒートだった。

 残り200m、館澤亨次(2年)が一気に前に出た。このラストスパートのために力をためていたかのようにグングンとスピードを上げる。遠藤日向(住友電工)の力強い足音が聞こえ、スタジアム内のスクリーンで背後にいるのを確認した。

 日本選手権1500m、東海大2年・館澤亨次が社会人選手を相手に優勝 日本選手権1500m、東海大2年・館澤亨次が社会人選手を相手に優勝
――負けられない。

 気持ちを振り絞って走る館澤は、さらに加速。そのまま逆に差を広げてゴールラインを駆け抜けた。タイムは、3分49秒73。平凡だが、この大会は勝つことに意味がある。小さな花束をもらい、満面の笑みがこぼれる。1年時からの練習が実を結んだ素晴らしい勝利だった。

 日本陸上界のトップを決める日本選手権の1500mには、東海大学から4名の選手がエントリーしていた。

 第1組予選には關颯人(せき・はやと/2年)、阪口竜平(2年)、予選2組に館澤、3組に木村理来(りく/2年)。各組上位3名プラス、タイム上位3名が決勝(6月24日)に進出できる。
予選で強さを見せたのは、木村だった。

 3分42秒20で予選全組中トップ通過を果たし、さらに自己ベストを記録、2006年に佐藤大樹が記録した東海大学記録を更新した。個人学生選手権(6月9日~11日/平塚)の1500mでも2位になり、好調を維持しているようで決勝での走りにも期待が膨らんだ。注目された關は予選6位に終わり、予選突破はならなかった。

「全日本大学駅伝の予選会から中4日でしたけど、思ったよりも疲れが足に残っていなくて1万mやって1500mも走れるんだっていうところを見せたかったんですけど、詰めの甘さが出てしまって......。悔しいですね」

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