16歳のプロ車いすテニスプレーヤー・小田凱人は、経験を積み重ねて今季飛躍中。全米オープンは「本気で優勝を狙いにいく」

  • 荒木美晴●取材・文 text by Araki Miharu
  • photo by Getty Images

コーチが見る小田凱人とは?

インタビューは熊田コーチにも同席してもらった。熊田コーチは、小田が中学生のころから岐阜インターナショナルテニスクラブで指導している。飛躍のシーズンを迎え、挑戦を続ける小田の成長をどう見ているのか話を聞いた。

―― 今季はグランドスラムという大きな挑戦がありました。ここまでを振り返り、収穫や課題についてどう分析されていますか?

熊田コーチ 練習ではイージーなミスを減らすという基本的なことに時間を割いてきました。自分から相手にポイントを上げちゃうような状況は減ってきた実感がありますね。課題は、好調を維持することです。車いすテニスはボールと身体の距離感をとるのがすごく難しくて、今日はよくても、次の日は全然うまくいかない、ということもよくあるんです。フェルナンデス選手との試合(7月のスイスオープンで勝利)は理想的な内容でしたが、毎試合それができるかというと、まだ半信半疑。自分の得意な形でポイントを取るパターンをもっと確立して、安定したパフォーマンスが発揮できる状態を常に作っていくこと、調子の波が少なくなるように練習していくことが、永遠の課題です。

―― グランドスラムを経験して、小田選手のテニスに取り組む姿勢に変化は見られますか?

熊田コーチ トップ選手と試合を重ねてきたので、そこでしっかり勝たなきゃいけないという自覚が以前より出たと思います。あとはトレーニングを自主的に積極的にやるようになりましたね。ただ、疲労の蓄積は落とし穴になりかねないので、ケガをしない体づくりはテーマのひとつに掲げています。身体を大きくするという感覚よりも、凱人の持ち味であるしなやかさや柔軟性を伸ばしていくイメージです。筋トレに関しては、専門家に任せてメニューを作ってもらっています。

―― 普段の小田選手の素顔は?

熊田コーチ メディア向けに話す時はモードがONで「しっかりしている16歳」というイメージがあると思いますが、普段僕とは洋服や音楽の話をしたり、休みの昨日はこんなことをしてきました~、みたいな話もするし。僕から見ると、16歳の年相応のかわいらしい感じですよ(笑)。

―― 今、小田選手の活躍が大きな注目を集めています。熊田コーチは小田選手に、どんなプレーヤーになってもらいたいですか?

熊田コーチ やっぱり、ファンに愛されるテニス選手になってもらいたいですね。魅了するパフォーマンスはもちろん、コート上でのマナーや、試合後の立ち居振る舞いがちゃんとできて、「ありがとうございます」がちゃんと言える人になってほしい。日頃の指導では、そういう教育面も心掛けています。

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