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競輪・中石湊が語るGⅠ初出場への思いと紆余曲折の過去 母の苦労に報いるために努力した日々を明かす

  • text by Sportiva

弱冠20歳、将来を嘱望される中石湊 photo by Gunki Hiroshi弱冠20歳、将来を嘱望される中石湊 photo by Gunki Hiroshiこの記事に関連する写真を見る

【GⅠに初出場】

「だいたい僕はうまくいかない」

 取材中、何度かそう口にした中石湊(北海道・125期)。そこに自虐的な意味はなく、その表情から"うまくいかないのが当たり前"という達観した雰囲気が漂っていた。

 昨年5月にデビューした中石は若手期待の選手として注目を集め、8月12日(火)~17日(日)に函館競輪場で開催されるGⅠ「第68回オールスター競輪」に推薦枠で初出場することが決まった。

 中石は今年3月に、6つあるカテゴリー(級班)の上位3カテゴリーにあたるS級に特別昇級し、7月にはS級で初優勝も飾っている。また自転車競技トラックのナショナルチームにも所属し、国際大会でも活躍している逸材だ。

 そんな彼の強みは、自らも認めるダッシュ力と持久力。高校時代から1kmTT(タイムトライアル)を主戦場にしており、2024年のアジアトラック選手権の同種目で銀メダルを獲得するなど、その実力は折り紙つき。そこで培った力は競輪でも存分に生かされ、先頭を走って後続を引っぱりつつ、そのままトップでゴール線を超えるパワフルなレースで観客を魅了してきた。

 かねてから「地元のビッグ(レース)を走りたい」と語ってきた中石にとって、初の特別競輪出場が、いきなりの地元・函館での開催とあって、賭ける思いは相当なもの。しかし本人はいたって冷静に意気込みを語る。

「推薦枠で出場できると連絡があった時には、うれしかったです。何もかも初めてですし、9車立て(9選手でのレース)もほとんど走ったことがないので、どうなるかわかりませんが、無駄にはしたくないですし、経験をしっかり積めるような開催にしたいと思っています」

 朴訥として感情を表に出さず、淡々と語っているように見えたが、内に秘めた闘志はひしひしと感じられた。

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