カーリング吉田知那美が北海道銀行フォルティウスの構想外になった時「全然前向きになれなかった」彼女を救った言葉とは (2ページ目)

  • 竹田聡一郎●取材・構成 text by Takeda Soichiro
  • photo by JMPA

 この言葉に出会っていたから、小さい頃から出て行きたかった北見に戻り、ロコ・ソラーレに入って、もう一度カーリングに向き合い、再出発すると決心できたのかもしれません。

 ロコに入ったあとも、勝てずに出たい大会に出られなかったり、ポジションを試したりと、試行錯誤が続き、思いどおりにいかないことはたくさんありました。でも、不貞腐れることや投げ出すことはいつでもできるけれど、身を置くところで咲こうとすること、そこで最善を尽くすこと。置かれた場所で頑張ってみようといつも思えたのは、この言葉があったからです。

 マネジャーの方(当時)からはオリジナルの単行本をいただいたのですが、何度も読んだので、もうボロボロになってしまいました。最近は電子書籍でページを開いています。

 他にも「ふがいない自分と仲良く生きてゆく」とか、「いつ、何が起きるかわからないから、いつも準備しておく」とか、カーリング、スポーツだけではなく、人生訓としても心に留めておきたい名言がたくさん載っていて、いつも救われています。

 その方とはチームを離れてからも、仲良くさせてもらっています。

 あれから9年の月日が経ち、最近はなかなか会えていませんが、聞いてほしい話や「ちゃんとしなさい!」と叱ってほしいこともあります。また一緒にご飯でも行けたらうれしいです。

吉田知那美(よしだ・ちなみ)
1991年7月26日生まれ。北海道北見市出身。幼少の頃からカーリングをはじめ、常呂中学校時代に日本選手権で3位になるなどして脚光を浴びる。2011年、北海道銀行フォルティウス(当時)入り。2014年ソチ五輪に出場し、5位入賞に貢献。その後、2014年6月にロコ ・ソラーレに加入。2016年世界選手権で準優勝という快挙を遂げると、2018年平昌五輪で銅メダル、2022年北京五輪で銀メダルを獲得した。2022年夏に結婚。趣味は料理で特技は食べっぷりと飲みっぷり。

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