ロコ・ソラーレ鈴木夕湖が北京五輪序盤で涙を見せた真相。立ち直る契機となったライバルと兄からの言葉 (4ページ目)

  • 竹田聡一郎●取材・文 text by Takeda Soichiro
  • photo by JMPA

「そうですね。試合前練習では、どのチームもだいたいテイクで慣らしてドローを投げるんです。それで、うちらは基本的にはドローしか投げないんですけど、相手チームのおかげもあって、アイスに馴染んでから試合に臨めるケースが多かった。でも、決勝戦はそうはならなかった。

 テイクを誰も投げていない分、霜が残っているパスもあって、そこに入ると曲がってしまったりして。私たちも準備はしていたのですが、あれはどうすればよかったんだろう......。そこは、今後の課題です」

――やはりファイナル慣れ、メダルゲームの経験というのも、大切になってくるのでしょうね。

「イギリス代表はスウェーデン相手の準決勝で、第1エンドにセンター戦で4点を取られているんですよね。私も試合中にチラッと見ただけなので確かではありませんが、その時に(イギリス代表は)ボトムの感覚、幅とウエイトがつかめていなくて、決勝ではそれだけに集中してきたのかな、と思いました。そういったことも含めて、自分たちは経験が足りていなかったと思います」

――改めて振り返ると、やはり悔しい思いが募りますか。

「う~ん......、負けた日は本当に悔しかったです。でも、しばらくして冷静になると、2位になれたっていうことや、負けてしまったけれど、周囲から祝福を受けて銀メダルを持って帰ってこられたのは、よかったなという気持ちもあります」

――凱旋試合でもある日本選手権がまもなく開幕します。どこが勝ってもおかしくないというか、特に女子の戦いは毎年「過去最高レベル」を更新し続けているように思いますが、いかがでしょうか。

「本当にそうです。今年は3チーム(ロコ・ソラーレ、フォルティウス、富士急)が(世界カーリングツアーの)グランドスラムに出場して、中部電力さんは世界選手権で戦ってきました。みんな、本当に強いです。私たちがオリンピックで頑張れたのも、強い女子のみんなで高め合ってきたおかげと思っているので、そういう試合がたくさんできればいいなと思っています」

鈴木夕湖(すずき・ゆうみ)
1991年12月2日生まれ。北海道北見市常呂町出身。身長145cm。冷静かつ、力強いスイープや巧なウエイトジャッジでチームを支えるセカンド。このオフに挑戦したいことは「スケートボード」。

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