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小平奈緒、超人的な36秒台と
「人徳」で金メダルよりもキラキラ輝く (3ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • photo by JMPA

 結城コーチは「小平は、体の状態がメンタルを作る選手なので。体に反応よく動くようにいい刺激を与えることを、1000mからの3日間は考えていました。幸い女子500mの公式練習のあとに男子の練習時間ができたので、前日は久しぶりに500mに出場する山中大地(電算)と一緒に滑ることができました。少し女子(の感覚)になっていたところに、男子の感覚のいい刺激が入ったと思います」と話す。

 小平も「調子が悪いということはなかったですが、滑りが1500mのリズムになっているのを修正しなければいけないと思っていました。山中選手と一緒に滑る機会があって、それですべての感覚が500mモードに戻ってきたな、というのがありました」と振り返る。

 まさに出るべくして出た低地世界最高記録だった。

 自分のレースが終わってからの小平は、競技者ではなく、ひとりの友人として2010年バンクーバー大会から五輪連覇を果たしている世界記録保持者イ・サンファ(韓国)のレースを観ていた。

「自分が納得できる最高のレースをしたのだから、もしサンファがさらに上のタイムを出してきたら仕方がない」という気持ちだった。それは結城コーチも同じであり、小平のこれまでの努力をよく知ったうえで観戦している人たちも同じだった。

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