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小平奈緒、超人的な36秒台と
「人徳」で金メダルよりもキラキラ輝く (2ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • photo by JMPA

 オランダ留学時代のチームメイトだったエルバノワを思ったより離せなかったものの、最後までしっかり脚を動かしてゴールすると、タイムは36秒95(その後36秒94に訂正)。女子500m史上初となる低地での36秒台が出た瞬間だった。小平が冷静な表情で両手を上げてガッツポーズをすると、驚きとともに会場の歓声は大きさを増した。

 昨シーズン終了後に小平はこんな話をしていた。

「W杯最終戦では1月から換えたブレードがだいぶハマッてきていたので、『あと2~3レースやれば、もしかしたら低地のリンクでも36秒台を出せるのかな』という期待もありました。でもそれを言い過ぎるとよくない気もしていて......」

 なんとなく現実ではないような36秒というタイムを平昌五輪で出し、小平は「対外的には36秒台とはあまり言わなかったけれど、結城匡啓(まさひろ)先生とはよく話していました。だからそれを見た時は『あっ、現実になったんだな』と思いました」と言う。

「タイムトライアルの時より、リンクコンディションも体の状態も確実にいい中で、あの(7日の)タイムより速い記録で滑れるなという感覚はありました。本当に戦うのは順位ではなく、タイムや自分自身ということは思っていました。あとは体のリズムをなるべく崩さないように意識をしていました」

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