検索

【ミラノ五輪】鍵山優真、佐藤駿の武器に 宇野昌磨から引き継がれた「共闘のスピリット」 (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki

【「お互いがモチベーションになれるように......」】

 まさに、鍵山は有言実行だった。力むことなく、同じ世代の佐藤、三浦佳生と共闘し、大きな成長を遂げている。3人がそれぞれ共鳴したのだ。

 今回のオリンピックでも、三浦は佐藤に「必ず逆転でメダルを取れるから」と励まし、それを実現している。鍵山はノービス、ジュニア時代からの佐藤とのライバル争いを「バチバチ感」と表現し、刺激を力に換えていた。一方、佐藤は三浦には何でも話しやすそうで、鍵山には仄かな敬意を抱いているようで、今シーズンの進化は一番目覚ましかった。

 独特の共闘精神が3人の武器だ。

 あるいは、それこそが宇野が残した"目に見えない"伝統だったかもしれない。彼自身、ほかの選手に敬意を欠いたことはなかったし、"誰かのおかげで成長している"という考えを常に根底に置いていた。

「僕以上に(鍵山)優真くんの演技がすばらしかったです」

 これは2023年のGPシリーズNHK杯のあと、鍵山に次ぐ2位に終わった宇野が語った言葉である。

「(鍵山の)点数を超えるには、僕が完璧にやらないといけなかったんですが、4回転+3回転が詰まった時点であやしいなって......。でも、それよりも優真くんが再びこの地に帰ってきてくれたのがうれしく思います。2年前、(スランプに陥っていた)自分は、彼に競技へのモチベーションに火をつけてもらいました。その時と同じく、僕は(2022-23シーズンは足首のケガなどで不調だった)彼にとってのモチベーションになれる選手でいられるように、と思いながらやってきたので」

 宇野自身、ライバルが与える刺激が力になることを明かしていた。

 誰かを倒したい、という虚栄心ではない。仲間をリスペクトし、自分自身にフォーカスすることで、力が湧き上がる"回路"だ。

2 / 3

キーワード

このページのトップに戻る