【ミラノ五輪】「いつもどおりのりくりゅうで」逆転金メダルなるか 三浦璃来・木原龍一の「歴史」が真価を見せる
【まさかのミスも崩れぬメンタル】
2月15日(現地時間、以下同)、ミラノ・コルティナ五輪フィギュアスケートペアのショートプログラム(SP)では7番目に「ゆなすみ」こと長岡柚奈・森口澄士が登場している。初の五輪でミスは出たが、観客の激励で持ち直し、最後まで滑りきった。残念ながらフリーには進めなかったが、何より彼らが五輪のリンクに立っていること自体、大きな意味がある。
そして、最終グループの6分間練習でリンクに立った「りくりゅう」三浦璃来・木原龍一は、なかなか切り開けなかった道を広げてきたと言える。彼らの轍に続くものが出てきた。その活躍はめざましく、日本のペアに希望を与え、新時代をつくった。ふたりがいなかったら、今回の団体でのメダルも難しかったはずだし、フィギュアスケート界全体に果たした役割は驚くほど大きなものだ。
やや大袈裟に言えば、それは「歴史」と言える。この日のSPで彼らはまさに時代の線のなかの点にいた。
ペアSPでリフトのミスが出て5位だった三浦璃来・木原龍一 photo by Sunao Noto / JMPAこの記事に関連する写真を見る
冒頭から、りくりゅうは『Paint It Black』の旋律に乗って、らしさ全開だった。トリプルツイストリフトでは木原が三浦を高い位置まで投げ、空中でくるくると3回転させる。3回転トーループもそろって着氷。どれだけ練習を重ねたのか、とにかく息が合っていた。
ところが、5アクセルラッソーリフトの出口でミスが出た。
「映像を見られていないので......なんでああなっちゃったかわからないですが」
木原は無念さにさいなまれていた。一方、三浦は自分たちを奮い立たせるように言った。
「リフトっていうのは、すべてふたりの阿吽の呼吸で成り立っているので、少しずれてしまうと今回のようになってしまう。積み上げてきたものもあったんですけど、運も悪かったなって」
ショックは大きかったはずだが、リンクのふたりは真骨頂を見せていた。次のスロー3回転ルッツは三浦が低い重心で耐えて、傷口を広げていない。そしてスピン、ステップはいずれもレベル4だった。最後のバックワード・インサイド・デススパイラルも完璧に決めた。
「ここ(ルッツ)ではもう失敗できないなっていうのはあったんですけど......そういった場面って今までたくさんありました。だから、自分たちのメンタルの強さも発揮できたのかなって思っています」
三浦は力強く振り返ったが、その言葉にふたりの本質がある。金メダルには厳しい滑り出しになったが、ミスがあっても崩れなかったのはみごとだった。彼らの底力を感じさせた。
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著者プロフィール

小宮良之 (こみやよしゆき)
スポーツライター。1972年生まれ、横浜出身。大学卒業後にバルセロナに渡り、スポーツライターに。語学力を駆使して五輪、W杯を現地取材後、06年に帰国。著書は20冊以上で『導かれし者』(角川文庫)、『アンチ・ドロップアウト』(集英社)など。『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家デビューし、2020年12月には『氷上のフェニックス』(角川文庫)を刊行。パリ五輪ではバレーボールを中心に取材。









