羽ばたいた「逆転の吉田陽菜」 シニア1年目でGPファイナル表彰台の伏線 (2ページ目)
【ジャンプを次々に成功】
フリースケーティングでは、『Shakuhachi/La Terre vue du ciel』で一羽の鶴になりきった。左手の赤い手袋、右手の黒い手袋、白を基調に黒で濃淡をつけたドレス、胸元や背中にゴールドのストーンが輝く。鶴をモチーフにした衣装をまとった彼女が長い腕を振り回し、小さな顔をかしげ、エッジを細かく変えた。真っ白な雪原で、鶴が甲高く迫力のある声で鳴く姿と重なった。
「鶴がテーマのプログラムなので、(振付師のローリー・)ニコルさんと動画を見て、このイメージかなって一個一個、振付けしてきました。自然のなかで飛んでいる鶴、歩いている鶴、いろいろ研究しながら。曲を通して、鶴のポーズがたくさん入っているんですが、そのポーズが少しでも鶴に見えるように。とくにステップで曲調が変わって盛り上がるところは重点的に。(ジュニアまでは)ジャンプで戦ってきましたけど、少しでもスケーティングで戦えるようにと思っています。それで前に進めるかなって」
彼女はそう語っていたが、演技への探究心こそ、武器であるジャンプにも力を与えることになったのかもしれない。
冒頭のトリプルアクセル、回転不足はとられたが、フリーではみごとに着氷した。ひとつの歴史をつくると、そこからは破竹の勢いがあった。ダブルアクセル+3回転トーループ、3回転ループを着氷。静寂さのなかで、じわりと熱を帯びるような演技だった。3回転フリップ、3回転ルッツ+3回転トーループ、3回転ルッツ、そして3回転サルコウ+ダブルアクセル+2回転トーループと次々に成功した。
142.51点をたたき出し、フリーは2位。総合で203.16点、3位に輝いた。
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