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【大学駅伝】中央大・溜池一太が全日本選考会で圧勝も不満顔のワケ 「自分がエースに」

  • 和田悟志●取材・文・写真 text by Wada Satoshi

トラック、駅伝シーズンともに貪欲に上を目指す中大・溜池一太 photo by Wada Satoshiトラック、駅伝シーズンともに貪欲に上を目指す中大・溜池一太 photo by Wada Satoshi

【「このままじゃ危ない」】

 全日本大学駅伝の関東地区選考会が5月24日、レモンガススタジアム平塚で開催された。例年より1カ月早く行なわれ、比較的好コンディションだったため、例年以上に高速のレースが繰り広げられた。

 そんななか、トップ通過を果たしたのが中央大だ。エントリータイムでも他校を圧倒していたが、本番でもその力を示した。

10000mの4レースが行なわれ、8人の合計タイムを競うのがこの選考会。トップの中大は3時間50分27秒09(1人当たりに換算すると28分48秒)で、2位通過の大東文化大に1分以上の大差をつけて伊勢路への切符を掴んだ。

 それにもかかわらず、中大の選手からはこんな厳しい言葉が漏れ出た。

「全員連戦のなかでのレースになったので100%の状態ではなかったんですけど、正直(2位に)もっと差をつけたいと思っていたので、このままじゃ危ない、しっかり練習していかなきゃいけないなと思いました」

 この言葉の主は、最終組を担った4年の溜池一太だ。

 約1分の差は十分に大差と言えるが、当人たちにとっては"圧勝"と言えるほどの結果ではなかった。

「1位通過というか、ここで他校を圧倒できるようじゃないと本選に行った時に、優勝なんて絶対に無理だと思っていました。本来ならシード権を取っていないといけなかったですし。『ここは君たちが戦う場じゃない』ってことは常々言っていました」

 藤原正和駅伝監督がこう言うように、そもそも全日本選考会に回るようなチームではない。実際に、中大は今年の箱根駅伝で総合5位に入った強豪チームなのだから。

 しかし、昨年11月の全日本大学駅伝では、優勝候補の一角に名前が挙がりながらも、序盤から流れに乗れず12位に終わっていた。

 今季、チームは箱根駅伝の総合優勝を目標に掲げている。だからこそ、藤原監督も、選手たちに意識を高く持つように徹底してきた。圧勝してもなお、溜池が「悔しい」「このままじゃいけない」と口にするのも、その高い意識の表われだった。

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著者プロフィール

  • 和田悟志

    和田悟志 (わだ・さとし)

    1980年生まれ、福島県出身。大学在学中から箱根駅伝のテレビ中継に選手情報というポジションで携わる。その後、出版社勤務を経てフリーランスに。陸上競技やDoスポーツとしてのランニングを中心に取材・執筆をしている。

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