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【大学駅伝】中央大・溜池一太が全日本選考会で圧勝も不満顔のワケ 「自分がエースに」 (3ページ目)

  • 和田悟志●取材・文・写真 text by Wada Satoshi

【"エース"という肩書きへの強いこだわり】

 世界を見据える一方で、もちろんチームのことも疎かにするわけにはいかない。溜池は"エース"としての役割を全うしようと、全日本選考会では各校のエースが集まる4組を担った。

 "27分台チャレンジ"と位置付けて臨み、後輩の岡田と共に積極的に挑んだ。

 記録は28分04秒39と、惜しくも27分台には届かなかったものの、留学生に割って入り4着と健闘を見せた。2年前に東京農業大の前田和摩がマークしたこの選考会の日本人最高タイム(28分03秒51)にもあと1秒と迫った。

「あれだけ突っ込んだなか、我慢してくれました」と藤原監督も溜池の走りを称えていた。

「27分台にいくかいかないかというところなら、調整しなくても出せるところに来ていると思う。今日は100%では来ていないので、今の練習を考えれば、こんなものかな」

 溜池自身、ここでも高い安定感を示し、好感触があったようだ。

 箱根駅伝で花の2区を経験し、今季の溜池のコメントからは、"エース"という肩書きへの強いこだわりが感じられる。

「今年はエースなので、しっかりエースとしてチームに貢献していきたい」

「エースは自分なので、しっかりやっていきたい」

 この日だけでも、レース後の囲み取材で幾度となく"エース"という言葉が飛び出した。

 後輩の本間颯(3年)や同期の吉中祐太の台頭があり、さらに同学年には、今季の駅伝主将を務める吉居駿恭がおり、学生の枠を超えた活躍を見せている。その吉居にさえも、溜池はエースの座を譲るつもりはない。

「駿恭は1年生の時からエースとして自分の前を走ってくれている選手なので、負けていられない。自分だけがエースと呼ばれるようになっていきたい」

 そこには"自分がチームを牽引するんだ"という強い意志がある。その意志を貫き、チームを箱根路の頂点へと導くつもりだ。

著者プロフィール

  • 和田悟志

    和田悟志 (わだ・さとし)

    1980年生まれ、福島県出身。大学在学中から箱根駅伝のテレビ中継に選手情報というポジションで携わる。その後、出版社勤務を経てフリーランスに。陸上競技やDoスポーツとしてのランニングを中心に取材・執筆をしている。

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