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青木祐奈、本田真凜らフィギュアスケーターの光と影 戦いは全日本選手権へつづく (2ページ目)

  • 小宮良之●取材・文 text by Komiya Yoshiyuki

【本当の戦いはこの先に】

「ジュニア1年目から全日本に勝ち進んで、あっという間。全日本出場は必ず勝ちとりたくて...」

 本田真凜(JAL)はそう語っていたが、9年連続での出場権を得ている彼女でも、「今回の東日本は21年目のスケート人生で一番緊張した」と漏らすほどだった。最後まで自分を信じられるか。そのせめぎ合いに生じる情念にこそ、物語の筋はある。

5位となり9年連続全日本に進出した本田真凜 photo by Nakamura Hiroyuki5位となり9年連続全日本に進出した本田真凜 photo by Nakamura Hiroyukiこの記事に関連する写真を見る たとえば、会場の地元である八戸工大一高の聖前埜乃華はSPこそ15位だった。しかしフリーは地元の声援を一身に受け、8位と健闘している。その巻き返しは見事だった。彼女は、こうした大会をきっかけに強くなれるかもしれない。

 なぜなら、声援を力にできる選手は、化ける可能性があるからだ。

 世界女王で、全日本を連覇中の坂本花織やグランプリ(GP)ファイナル女王で昨年の全日本2位の三原舞依は、キャラクターこそまったく違うが、声援に力をみなぎらせる選手である。「かおちゃん、がんば!」「まいちゃん、がんば!」。その声援に心の底から感謝し、奮い立つ。肉体に残った力を渾身でしぼり出し、そのたびに強くなって、逆境にも立ち向かえるのだ。

「全日本にピークを持っていくのも大切で。今回の悔しい演技を、そこで活かせるようにしたいです。去年(全日本22位)よりも今年は成長しているし、全日本の舞台で、実力を発揮するだけ」

 江川マリア(明治大)はそう言って、2位で全日本へ進んでいた。東日本を試金石にできるか。それも試練のひとつだろう。

 GPシリーズに出ている選手の多くはシード権を持っていて、世界を転戦後、全日本に出てくる。そのライバルを上回るには、東日本の表彰台に甘んじているわけにはいかない。本当の戦いは先にあるのだ。

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